研究課題
令和3年度は、認知症高齢者の慢性機能性便秘に対するBowel Trainingと合理的な排便姿勢を組み合わせた排便ケアの効果を明らかにするため、多施設共同無作為化並行群間比較試験を継続していた。研究協力を得ていた残り3施設での介入研究再開を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い再開の目処が立たず、2021年7月31日に研究終了を決断した。最終的に登録された参加者33名は、1名が腰痛悪化により除外された後に介入群または対照群に1:1にランダムに割り当てた(各群n=16)。介入群から2名が除外され(1名は家族による同意撤回、1名は転院のため)、介入群14名と対照群16名が実施と解析まで完了した。介入群はBowel Trainingと合理的な排便姿勢を組み合わせた排便ケアを受け、対照群は通常の排便ケアを受けた。すべての施設で教育プログラムに基づくワークショップにて介入方法を説明したことで、ケアスタッフによる介入の実施は標準化された。ワークショップの内容は動画で視覚的に記録され、ケアスタッフはいつでも動画を視聴することが可能で、トレーニングや特定のケア手順を実践するために利用された。主要評価項目のcomplete spontaneous bowel movements (CSBMs)は、介入群ではベースラインの週平均0.53回から8週間で1.58回に増加したが、対照群では0.56回から0.43回の変化であった(interaction p<0.001)。副次評価項目のPatient Assessment of Constipation Quality of Life Questionnaire (PAC-QOL)、Constipation Scoring System (CSS), constipation symptom、Neuropsychiatric Inventory Nursing Home Version (NPI-NH) scoresは、8週間の排便ケア介入後に有意な改善を示した。Bowel Trainingと合理的な排便姿勢を組み合わせた排便ケアは、認知症高齢者の慢性機能性便秘に効果的であり、対象の精神的健康を改善し、ケアスタッフの介護負担を軽減することが示された。
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日本看護福祉学会誌
巻: 27 ページ: 47-55
日本老年医学会雑誌
巻: 59 ページ: 67-78
日本早期認知症学会誌
巻: 14 ページ: 18-26