研究成果の概要 |
介護老人保健施設の看護職者の「専門職的自律性」と「看護師としての自己実現」,「仕事上の人間関係」との関連を探求した。対象者は728名で,年齢平均49.7歳(SD9.59)であった.「仕事上の人間関係」と「看護師としての自己実現」は専門職的自律性と強い相関を認めた.属性間での平均値の差の検定(有意水準<0.005)では,専門職的自律性は「離職期間の有無」,「現職場での就業継続意思」で有意差を認めた.「看護師としての自己実現」では,「雇用形態」で有意差を認め,正規職員が非正規職員よりも高い傾向がみられた.潜在変数化と観測変数を確定し共分散構造分析を行い,専門職的自律性向上モデルを作成した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
老健の看護師の専門職性的自律性を,個人特性,職場での人間関係および看護師としての自己実現意識の視点から明らかにし,専門職的自律性の獲得と向上のためのメカニズムの解明に寄与する知見が得られた. さらにこの知見は,専門職的自律性の向上により看護師としての役割行動の明確化やケアの質の向上と資源利用の効率化によるコスト削減にもつながるものである.また,自律性の度合いは社会がその職業をどの程度専門職としてみなすかの指標でもあり,専門職間相互の関係や看護職に対する職務信頼度の向上に加えて,看護職自身の専門職者として高いレベルの仕事を目指した自己啓発行動を促進することができる.
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