研究課題/領域番号 |
18K17637
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
平 和也 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70804847)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 健康寿命 / 政府統計 / 一般線形混合モデル / 主観的健康感 / 内容分析 / インターネット / 健康情報 |
研究実績の概要 |
行政が政策目標としている3種類の健康寿命の比較と政府統計データとの関連性を分析した論文を執筆し,ジャーナルに投稿していたが,採択に至らなかったため,分析の精錬と論点を明確にするなど,大幅な修正を行った.修正前は,WEB上から取得可能なあらゆる政府統計データと主観的健康感との相関等を分析していたが,要因が多く解釈困難であるといった査読結果があったことから,健康寿命の算定根拠データに変数を絞り,一般化線形混合モデルを用いた回帰分析に変更した.当該論文は,現在,BMC Research notesに投稿している(Preprint: https://dx.doi.org/10.21203/rs.3.rs-22909/v1). 上記論文では,健康寿命の算定根拠データである『主観的健康感』の向上が有効であることが示唆されたため,一般住民が『主観的健康感』の設問に回答する際の判断基準となる要因を明らかにするため,年齢・性別に層化し,30歳代~70歳代の男女計59名にインタビュー調査を実施した.当該データについては,内容分析を行い,ライフコースに応じて要因を整理し,論文を執筆のうえ,Preventive Medicine Reportsへの投稿準備を進めている. また,健康寿命と政府統計データとの関連分析の過程で,インターネットの利用頻度との関連も認められていたため,ヤフー株式会社との共同研究として,一般ユーザーの健康情報ニーズと医療者の使用頻度が高い医療単語との比較を行い,医療職者の使用頻度は低いが一般ユーザーの検索頻度が高い疾患名等があることが分かり,インターネット上でのユーザーが求める健康情報の発信の重要性について論文を執筆し,Journal of Medical Internet Researchに掲載された.(https://doi.org/10.2196/13369)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
行政が政策目標としている3種類の健康寿命の比較と政府統計データとの関連性を分析した論文を執筆し,ジャーナルに投稿していたが,採択に至らなかったため,分析の精錬と論点を明確にするなど,大幅な修正を加えるため,時間を要した.また,2020年4月より勤務先の大学の異動があったこと,及び,新型コロナウイルスの流行の影響により各種業務のテレワーク化の推進など,想定外の業務量が増えたため,研究の進捗がやや遅延している. 上記論文の分析結果をもとに実施した,健康寿命の算出基礎データである『主観的健康感』の判断基準となる要因に関するインタビュー調査の結果を分析した論文の投稿や若い世代の健康寿命の延伸要因の分析について,オープンデータ(Japanese General Social Surveysのパネルデータ,労働政策研究・研修機構の子育て世帯全国調査)を用いた研究を進める予定としており,データの利用許可を得ているが,分析作業がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
行政が政策目標としている3種類の健康寿命の比較に関する論文(Preprint: https://dx.doi.org/10.21203/rs.3.rs-22909/v1)及び『主観的健康感』の判断基準となる要因に関する論文については,引き続き,投稿手続きや査読対応を行っていく. また,若い世代の健康寿命の延伸要因の分析について,利用許可を得ているオープンデータ(Japanese General Social Surveysのパネルデータ,労働政策研究・研修機構の子育て世帯全国調査)の分析を実施し,次年度中に論文の掲載を目指す.ただし,新型コロナウイルスのため,予期せぬ業務量の増加や勤務状況の変化により,次年度中にすべての研究を終わらせるのが困難であると判断した場合には,1年間の期間延長を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では,健康寿命と政府統計との間で関連が見られた項目について,都道府県単位の生態学的研究ではなく,個人単位での質問紙調査を実施する予定であったが,分析内容を精査したことで『主観的健康感』に焦点化され,インタビュー調査を実施した。同調査は、行政側のニーズもあり,受託研究として実施したため,費用負担なしで実施できたため予算に余剰が生じた.また,『主観的健康感』以外の関連が認められた要因についても,ヤフー株式会社との共同研究やオープンデータの利用をすることで、必要な調査項目を含んでおり、より分析に適したサンプルサイズのデータとなると判断したため,独自の質問紙調査の実施ではなく,二次データの分析及び論文の執筆が中心となっている. 現時点で,複数本の論文の執筆及び投稿を行っており,さらに,利用許可を得ているオープンデータの分析も控えている.そのため,計画時点よりも多く研究結果を公表することとなるため、論文掲載時の論文掲載料(APC:Article processing charge)や英文校閲,学会発表等の費用として使用していく.
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