研究課題/領域番号 |
18K17644
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
高 知恵 (椿知恵) 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (60582319)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ソーシャル・キャピタル / 在日コリアン / コミュニティ / 育児支援 / 在住外国人 |
研究実績の概要 |
本研究では、コリアタウンに居住する在日コリアンはその他の地域に居住する在日コリアンよりも子どもの数が多いという先行研究結果に着目し、在日コリアンコミュニティの特徴、在日コリアンの背景や価値観、なども考慮しながら、コミュニティ内での子育て支援になりうる資源を明らかにすると同時に、育児期の日本人母親や日本のコミュニティにも当てはめることができるような体制作りの検討を目的としている。 本年度は、在日コリアンコミュニティに居住する育児期の在日コリアン母親10名を対象に「家族形成に関する思い」、「家事育児を主に担う上での影響や困難、負担への対処」、「家事育児を行う上で活用できる資源」、「在日コリアンとして在日コリアンコミュニティに居住すること」などについてインタビュー調査を実施した。現在、インタビュー結果を分析し、コード化カテゴリー化している段階である。 また、本年度は在日コリアン母親への育児支援の一環として、子育て相談会や子育てセミナーを2回実施した。在日コリアンコミュニティ内に居住する在日コリアン母親は自ら望んで、コミュニティに居住している者も多く、その中で、在日コリアンというアイデンティティを保ち、在日コリアンとしてコミュニティに居住することのメリットを感じている者も多かった。また、育児支援として活用する人や場所も在日コリアンを頼ることが多く、在日コリアンとしての強い帰属意識が関連していることが推測された。 現在取り組んでいる分析結果を基に、日本のコミュニティや日本人母親への適応を検討すると同時に、在日コリアン以外の在住外国人への育児支援への適応可能性についても検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった在日コリアンコミュニティに居住する在日コリアン母親へのインタビュー調査は完了し、分析も順調に進んでいる。また、2回の子育て相談会を通して在日コリアン母親の思いや育児支援の現状についても把握することができた。 次年度以降に検討したい在日コリアン以外の在住外国人の家族形成や妊娠、出産、育児の実態については、施設との共同研究の準備が整っており、研究計画も具体的に考えられている。そのため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
コリアタウンに居住する在日コリアン母親たちへのインタビュー調査結果の分析を継続する。それと同時に在日コリアン以外の在住外国人の家族形成、妊娠、出産、育児期の実態、支援のニーズ、在住外国人妊産褥婦が日本で安心して周産期を迎え過ごすことができるような助産師としての支援の在り方について、検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施した在日コリアン母親へのインタビュー調査から、在日コリアンコミュニティに居住する在日コリアン母親の家族形成への思いや家事育児の現状、コミュニティに求める支援などについて、一定の知見を得ることができた。そこで、当初予定してた在日コリアン母親へのWebアンケート調査の必要性について再度検討し、Webアンケート調査を実施せず、新たな研究計画へ変更した。そのため、Webアンケート調査実施のための予算が次年度予算への繰り越しとなった。新たな研究計画としては、在日コリアン以外の在住外国人母親が安全、安心に周産期を迎え過ごすことができるような支援について検討するために、在住外国人の妊産婦が多い周産期センターと共同し、在住外国人の周産期の現状、在住外国人としてコミュニティに居住し、妊娠、出産、育児を行っていく上での困難と支援のニーズを明らかにする。その上で、助産師としての在住外国人への具体的な支援について検討していく。
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