研究課題/領域番号 |
18K17645
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
林 健司 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (10462037)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大腿骨近位部骨折 / 居宅生活 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大腿骨近位部骨折を受傷した高齢者の健康管理への意欲を高め、居宅での介護予防行動を促進する健康寿命延伸プログラムを開発することである。大腿骨近位部骨折を受傷し居宅復帰した高齢者が、日常生活の中で健康寿命延伸につながる情報をタイムリーに定期的、かつ継続的に受けることは、自立した生活に向けた意味づけとなり、具体的で継続性ある支援策の提示によって、対象者の介護予防行動における意欲の向上につながると考える。ひいては、対象者の行動変容へとつながることが期待できる。プログラム開発の準備として、2つの研究を実施し学会発表をした。1つ目は、大腿骨近位部骨折から居宅退院した高齢者の1カ月間の転倒不安感の変化を明らかにした。本データ内で検討を行った結果、統計的に変化のあった項目は「衣服の着脱」と「近所を歩く」の2項目であり、退院1ヵ月後に対象者の不安感は強くなっていた。2つ目は、大腿骨近位部骨折術後高齢者における居宅での生活様相を明らかにすることを目的に研究に取り組んだ。研究対象者である居宅退院となる大腿骨近位部骨折術後患者に対し、退院後と退院1カ月後に、半構造化面接を実施した。得られたデータはM‐GTAを用いて質的に分析を行った。9名を研究参加者とし、分析の結果、19個の概念が生成され、7つのカテゴリーに分類された。大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は『自由を手に入れる』一方で、『想定外の現実』に直面し、次第に『生活環境の狭小化』状況にあった。そんな中、徐々に『老いと折り合う』ことで、居宅で暮らす自分を客観視するようになっていた。そして、大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は、『前向きな依存』と『無理のない自律』の二方向で生活の再構築を始めつつあった。また、一度骨折を経験した高齢者は退院後、常に『脳裏によぎる再骨折』を抱えながら生活していた。現在論文化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染管理にて、医療者とのコンタクトが制限されたため。
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今後の研究の推進方策 |
論文化を進め、明らかになった生活様相の変化要因に働きかけるプログラムコンテンツを構築していく。合わせて、プログラム活用マニュアルについて医療者を交え検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を学会で発表し、論文を作成するための費用等に使用する。
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