本研究の目的は、男性に対する骨盤底筋トレーニングの施行による、骨盤底筋群の機能と症状の改善効果を検証することが目的であった。骨盤底筋トレーニング介入研究の重要な評価指標として、直腸肛門内圧を検討してきた。直腸肛門内圧の測定は、既報では前立腺全摘除術後の尿失禁を呈する患者に対して用いられたが、その信頼性は検討されていない。そのため、本研究では、男性における骨盤底筋群の筋機能を評価する指標として、直腸肛門内圧測定の信頼性検討を実施した。 2019年度の研究に関しては、健常男性に対して、直腸肛門内圧測定(最大肛門直腸圧、収縮持続時間、平均肛門直腸圧、最大収縮時間までの速さ、肛門直腸圧の曲線下面積)の検者内及び検者間信頼性の検討を実施した。信頼性の検討では、検者2名における検者間信頼性、対象者1名あたり2回の測定を実施することによって、検者内信頼性を検討した。結果は、検者間および検者内信頼性はともに良好な級内相関係数が得られた。その成果は学会および論文にて発表された。 本研究における成果は、男性の骨盤底筋群の筋機能の直接的な評価法の確立の一助となると考える。これまで、骨盤底筋トレーニングの効果は 産後の女性を対象とした既報によりその有効性が報告されてきた。本研究を通じて、女性だけではなく、男性における有効性が実証されたことは、今後臨床現場における骨盤底筋トレーニングの骨盤底筋群の評価指標として有用であると考える。
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