研究課題/領域番号 |
18K17654
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩子 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (40468822)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 子ども虐待予防 |
研究実績の概要 |
近年核家族化など社会の変化に伴い、子育て家庭の孤立が課題となっている。育児をサポートしてくれる親族や友人が身近にいない状況で、母親に育児負担が集中する中、母親自身が地域の子育て資源を適切に活用する力を持つことが孤立の軽減につながると考えられる。本研究は、乳幼児期の子どもを育てる母親が、育児のサポートを得るために地域の母子保健事業、子育て支援事業に自らつながり、適切に利用するための、「地域の子育て支援につながる力」を示す構成要素およびその力に影響する要因を明らかにすることを目的としている。 研究初年度である平成30年度は、乳幼児を育てる母親を対象に半構成的インタビュー調査を行った。対象者は、これまでの子育て期間で家族や友人などから育児のサポートが少なかった経験をもつ者、子どもに重度の障害や入院治療を要する病気がない者とし、4か月から6歳までの子どもを育てる母親10名の協力を得た。「地域の子育て支援を利用した理由やきっかけ、利用する際の具体的行動や考え」について語ってもらい、逐語録から、母親の地域の支援につながる力の構成要素と影響要因を質的帰納的に分析した。地域の支援につながる力への影響要因は主に、母親自身が自分の困りごとを認識していないこと、育児だけで精一杯であること、子育てサービス利用に対する不安などであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画は、インタビュー調査の結果から、質問紙調査に向けた質問項目を抽出することとしていた。インタビュー調査では、育児に悩みながらも子育て支援につながりにくい経験をもつ母親を対象としたが、調査協力への同意を得られないこともあり、リクルートに予定以上の時間を要した。また対象者10名が利用する子育て支援サービスに偏りがみられたため、追加のインタビュー調査を行う予定としており、質問項目の抽出に至らなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
追加のインタビュー調査完了後、乳幼児を育てる母親を対象として質問紙調査を実施する。インタビュー調査の結果から、母親対象とした質問紙調査に向けた質問項目を抽出するとともに、「子育て支援につながる力」に影響する要因の関係性を示す仮説モデルを作成し、質問紙を完成させる。地域子育て支援拠点の協力を得てプレテストを実施後、複数自治体において乳幼児健康診査受診者の母親を対象とした本調査を行う。質問紙調査の結果をもとに、仮説モデルの検証を行い、「地域の子育て支援につながる力」に影響する要因を示すモデルを完成させる。質問紙調査の結果およびモデルをもとに、自治体保健師等専門職の意見を得て、子育て期の母親自身の「支援につながる」というコンピテンスを高めるための介入プログラム、環境づくりについてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたインタビュー調査の実施および研究打ち合わせに伴う交通費、会議室借用費、郵送料等の支払いが発生しなかった。初年度に予定していたレーザープリンターは、質問紙調査を予定している翌年度の購入とすることとした。 翌年度分として、レーザープリンター及びインクの購入費用として使用する。また質問紙調査について、プレ調査を追加実施することとしたため、調査票郵送費、データ入力費用として使用する計画である。
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