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2019 年度 実施状況報告書

早発初潮の社会的因果統合モデルの構築:ウィメンズヘルスの提言に向けた日英比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K17655
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

梅田 麻希  兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (40424311)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードリプロダクティブヘルス / 健康の社会的決定要因 / 精神保健 / 疫学
研究実績の概要

2019年度は、第2回世界精神保健調査日本調査のデータを用いて早発初潮と幼少期の社会経済的要因の関連について検討を行った。その結果、回答者の平均初潮年齢は13歳で、早発月経のあった者は4%(n = 52)であった。ログランク検定の結果、早発月経ありの者で有意に大うつ病の発症率が高かった(p < 0.001)。年齢で調整したコックス比例ハザードモデルでも、早発月経のあった者は、そうでない者に比べて大うつ病発症のリスクが有意に高かった(モデル1: HR = 2.74, 95% CI = 1.27- 5.92, p = 0.010)。この関連は、幼少期のトラウマ体験、および早期成人期の社会経済的要因で調整したモデルにおいても維持された(モデル2: HR = 2.84, 95% CI = 1.29-6.27, p = 0.010; モデル3: HR = 3.15, 95% CI = 1.41- 7.06, p = 0.005)。これらのことから、早期に初潮を迎えた女性では、大うつ病発症のリスクが高まることが明らかになった。本研究では、幼少期のトラウマ体験や早期成人期の社会経済的要因による媒介効果は確認できなかった。今後は、神経系に対するホルモンの影響など、生物学的な要因についても検討していく必要があることが示唆された。一方、年齢と初潮のタイミングには強い関連があるため、統計的な調整では不十分だった可能性がある。また、サンプル数の少なさから、性的虐待などの影響を十分に評価できなかった可能性がある。そのため、大規模なバースコホートを用いたさらなる検討が必要である。2020年度は、英国のコホートデータを用いた解析を行う。
上記の成果は、第78回日本公衆衛生学会総会にて口頭発表した。また、国際誌での公表に向けて準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、第2回世界精神保健調査日本調査のデータを用いて解析を行い、第78回日本公衆衛生学会総会にて口頭発表することができた。国際誌での公表には至っていないが、現在論文を執筆し投稿に向けて準備を進めている。

今後の研究の推進方策

2019年度に日本のデータを用いて実施した解析を、英国のコホートデータ(English Longitudinal Study of Aging)を用いて行う。英国のデータは、一般に公開しているもので、既に利用申請を済ませている。具体的な成果物としては、日本および英国のデータを用いた研究の国際誌での発表を目指している。
また、研究最終年度の本年は、本研究課題によって得られた知見を日本国内外のウィメンズヘルスの問題解決に適用する方策を検討するために、専門家へのヒアリングやそこから得られた知見の学生への還元を図る。

次年度使用額が生じた理由

3月に参加を予定していた学会が新型コロナウィルス感染拡大の影響で紙上開催となったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 早発月経と大うつ病発症リスク:幼少期トラウマ体験と早期成人期の社会経済要因の影響2019

    • 著者名/発表者名
      梅田麻希、下田陽樹、立森久照、竹島正、川上憲人
    • 学会等名
      第78回日本公衆衛生学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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