研究課題/領域番号 |
18K17656
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
井口 理 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (10513567)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 互助機能 / 評価尺度 / 都市部 / 尺度開発 / 支援者 / プレ調査 |
研究実績の概要 |
【目的】互助を促す支援者が活用するための「都市部における町会・自治会の互助の機能に関する評価尺度」の調査を行う。 【方法】東京23区内の地域包括支援センター、社会福祉協議会、区役所の地域包括ケア主管部署を対象に質問紙調査を行い、因子分析を実施した。 【結果】調査への協力依頼は計357か所に往復はがきで郵送したが、調査協力の同意を得られたのは61施設であった。61施設146人に自記式質問紙調査を郵送し、回収数は77部(回収率52.7%)、そのうち、隣近所の関係性に関する項目全てが未記入だった2部を除外し、75部を有効回答とし(有効回答率51.4%)、分析対象とした。150町会・自治会に関する回答を最尤法、プロマックス回転で因子分析の対象とした結果、有意確率0.773で4因子13項目の尺度項目を得た。各因子は“くらしの補完”“日常の交流”“話し合える場”“つながり意識”と命名した。信頼性係数Cronbachαはいずれも0.8以上であった。共分散構造分析で確認的因子分析を行った結果、モデルの適合度指標は、CFI=0.987,RMSEA=0.049であった。 【結論】「都市部における町会・自治会の互助機能」を説明するモデルとして、内的整合性が確保され、かつ妥当であると判断できる信頼性係数と適合度指標を得たが、分析対象の数は十分とは言い難い。本調査はプレテストの位置づけとし、今後は全国の政令指定都市においても本尺度が活用可能かどうか本調査を行い、都市部において互助を促す支援者が、町会・自治会単位の互助機能を測定するための評価尺度を開発したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.新型コロナウィルスの感染流行の始期に調査を実施したことが、調査への協力同意を得にくい要因の一つとなった可能性がある。結果としてサンプルサイズが小さくなった。 2.新型コロナウィルス感染拡大に伴い、教育活動や社会活動に費やす時間が予定外かつ膨大に必要となった。その結果、研究活動の時間を削ることになり、研究の成果を公表するためのまとめ、報告書作成に後れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今回実施した調査は、全政令指定都市を対象とする全国調査のプレ調査として位置付ける。少ないサンプルサイズではあったが、比較的良好な適合度指数を得ることができたため、今後は研究成果を公表し、次の段階の全国調査につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、成果を公表しなかったことに伴い、考察に使用する図書購入や研究協力者への報告資料送付に関する支出が執行されなかったためである。 次年度は、論文投稿により成果を報告し、研究協力者宛に成果物を発送するために助成金を使用する予定である。
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