第一段階:地縁・血縁が希薄化し,互いに助け合うことが難しいとされている都市部において「互助」とは何を指すのか,Rogersの概念分析5)の方法を参考に,都市部における「互助」の概念を検討した。行政の保健師,地域包括支援センターの職員と都市部在住の高齢者を対象に,「互いに助け合う」とは具体的にどのようなことを指すのかインタビュー内容を質的記述的に分析し,概念図を作成した。 第二段階:インタビューから得られた内容をもとに質問紙を作成し,互助を促す支援者が活用するための「都市部における町会・自治会の互助の機能に関する評価尺度」の予備調査として、2020年1月に東京23区内の地域包括支援センター、社会福祉協議会、区役所の地域包括ケア主管部署357カ所のうち協力同意を得ることができた61施設146人を対象に質問紙調査を行い、因子分析を実施した。 質問紙は、【結果】有効回答率51.4%で75部を有効回答とし、150町会・自治会に関する回答を最尤法、プロマックス回転で因子分析の対象とした結果、有意確率0.773で4因子13項目の尺度項目を得た。各因子は“くらしの補完”“日常の交流”“話し合える場”“つながり意識”と命名した。信頼性係数Cronbachのα係数はいずれも0.8以上であった。共分散構造分析で確認的因子分析を行った結果、モデルの適合度指標は、CFI=0.987,RMSEA=0.049であった。 【結論】分析対象の数は十分とは言い難いものの、「都市部における町会・自治会の互助機能」を説明するモデルとして、内的整合性が確保され、かつ妥当であると判断できる信頼性係数と適合度指標を得た。今後は全国の政令指定都市においても本尺度が活用可能かどうか本調査を行い、都市部において互助を促す支援者が町会・自治会単位の互助機能を測定するための評価尺度を開発したい。
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