研究課題/領域番号 |
18K17657
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
内山 孝子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80781624)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 特別養護老人ホーム / 看取りケア / アクションリサーチ / 学習プログラム / 看護実践 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、生活の場での看取りという実践に根づいた学習を成立させるため、特養という実践の場を共有する施設を超えて看護職がつながり、実践を共有し、学びあい、能動的に現状を改革していく推進力となる場を創造し、支援し合うような学習及び実践変革のための学習プログラムの構築と評価に取り組む参加型アクションリサーチである。 特別養護老人ホーム(以下、特養)は、2018年の介護報酬改定において、配置医師緊急対応加算の新設や看取り対応加算の強化がなされた。2021年の改定では、新型コロナウイルス感染症対策を念頭においた感染症対策強化に加え、認知症への対応能力向上に向けて取り組みが推進され、看取り対応加算がさらに強化された。また、ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システムの導入と併せて、自立支援・重度化防止が推進されている。このような政策誘導の結果、特養の入所者の特徴は、中重度要介護度、重度認知症、老衰となっており、施設内での看取りケアの重要性が増している。 2021年度は、特別養護老人ホームに勤務する看護職の看取りの実践能力向上のための組織づくりと、施設横断型学習プログラムの基盤の検討をすすめる予定であった。参加者の移動時間の負担の軽減や感染拡大予防のため、オンラインでの「看取りカフェ」開催の調整を試みた。しかし、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染拡大防止、さらに上述した介護報酬改定に伴い、特養の看護職は多忙を極め、日々の業務に疲弊しており参加者を得ることができず「看取りカフェ」の再開は不能のままであり、研究を遂行することができなかった。「看取りカフェ」とは、よい看取りにつなげるため入所時からの入所者のこれまでの生活や価値観を中心とした基本的な高齢者看護の知識と技術、医療ケアと看取りに至るまでの意思決定支援、家族ケア、介護職との連携など、看取りケアの全体を含む学習の場である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大、介護報酬改定への対応により、看取りカフェの開催の合意を得ることができなかった。しかしながら、特養における更なる医療ニーズへの対応をしていくために、他施設のケアの工夫を共有する意義はより一層重要性が増している。本研究のゲートキーパーである特養の施設長(看護師)に、リモートでの開催を提案した。しかし、特養の看護師は、多重リモート会議に慣れていないということ、業務による疲弊があるという理由から、看取りカフェの開催は困難を極め、今年度も研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
一部の特養では、リモート面会やリモート研修を始めており、オンライン会議への抵抗感が軽減してきている。ゲートキーパーである特養の施設長(看護師)から、看取りカフェの再開の準備を始めたいという要望が得られた。リモート会議に馴染みが薄い参加者もあるため、対面とリモートのハイブリット型で特養の看護師の学習の場である看取りカフェを開催する予定である。 看取りカフェの開催は、参加者の希望に添うため、対面とリモート参加が選択できる企画をゲートキーパーと相談して進めていく。また、特養の看護師はリモートでの参加の環境が整わないという課題があるため、Wi-Fiルーター、タブレットを活用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、研究参加者を得ることができず、看取りカフェの開催ができなかったため、会場費、会議費、謝礼、データ処理のための人 件費、テープ起こしの謝礼、専門家による知識の提供への謝礼が発生しなかったことから、次年度使用が生じた。 今年度は、リモート開催を併用する計画に変更するため、Wi-Fiルーター、タブレットのレンタル料を、本来の使用計画につけ加えて使用していく。
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