研究課題/領域番号 |
18K17659
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
荒川 尚子 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (90552076)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新興国 / mHealth / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
地域を支える保健医療従事者は、保健活動を推進するうえで重要な情報を収集しているにもかかわらず、情報統合の煩雑性や記録の不統一などの課題があり、情報を有効活用できていない。マンパワーの不足する新興国において、情報収集項目の標準化および記録のデジタル化は、現場の業務量の削減やデータの有効活用において重要である。 本研究は、先行研究で開発したデータベースシステムを用い、タイ全土におけるシステムの汎用性と実用性を確認するための長期運用試験による評価研究である。本研究の最終ゴールは、新興国の地域保健に携わる保健医療従事者が日々の保健活動で得られる住民の健康に関する情報を効果的に収集・管理でき、日々の実践へのフィードバックおよび健康政策に必要な情報を提供できる持続的・発展的なデータベース開発・普及である。 今年度は、タイ東北部、中部において開発したデータベースの長期運用試験を行い、その汎用性および実用性について評価を行うことを目的としていたが、2019年末から続くCovid-19の世界的パンデミックから海外渡航ができず、本研究は大幅に遅れている状況であった。このような状況下ではあったが、2022年9月に現地調査が再開できた。現地調査では、タイ中部の農村部のCommunity Health Hospital1件と3件のHealth Promoting Hospitalで看護職およびヘルスボランティアにインタビューを実施した。インタビューでは、コロナ禍およびアフターコロナにおける住民フォローの状況、情報管理体制などについて明らかになった。看護師から語られたのは、コロナ禍における慢性疾患患者のフォローの難しさと、情報共有にける煩雑性からのデジタル化への大きな期待であった。今後、現地調査結果を質的分析し、データベースシステムへの応用について考察してく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍で海外渡航が3年弱制限され、現地で運用試験を実施することができていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は長期運用試験による汎用性調査であったが、残り期限および現地との調整により当初の研究目的を達成することは難しい。そのため、研究目的をアフターコロナにおける患者フォローの現場状況と情報管理の把握の現地調査と、その現状に合わせたデータベース改良をすることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020~2021年度の渡航調査ができなかったため、その予算が未使用である。そのため、2023年度には渡航調査を実施しできる限りの研究遂行を目指す。 渡航調査は研究協力者と共に実施することにより、限られた調査期間にはなるができるだけ多角的にアフターコロナの現状を分析していくこととする。
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