2020年度は、2019年度に4か月児をもつ母親977名を対象として実施した自記式質問紙調査の分析を進め、支援策の検討を行った。 この質問紙調査では、A市の4か月児健康診査の案内文書に調査票一式を同封して対象者に配布し、郵送による回収を行った。調査内容は、基本属性、健康状態、サポート、妊娠期・育児期の体験(2018年度に実施した面接調査の結果から独自に作成した20項目)、育児支援チェックリスト、赤ちゃんへの気持ち質問票、特性的自己効力感尺度、育児不安尺度、エジンバラ産後うつ病質問票(Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS)とした。育児不安を従属変数、その他の項目のうち、育児不安との単変量解析で有意であった項目を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。 結果、440名から回答が得られ(回収率45.0%)、年齢の記載がない3名を除く437名を有効回答(有効回答率44.7%)とした。結果、35歳以上の母親の育児不安には、初産経産の別や睡眠による休養、心理的・精神的な問題での専門職への相談経験、赤ちゃんへの気持ち質問票の2項目が関連していた。35歳未満と比較すると、35歳以上の母親では特に母親自身の睡眠状況や精神的な健康状態が育児不安と関係しており、これを考慮した上で妊娠期から育児期の支援を行う必要があることが示唆された。 2018年度に実施した面接調査、および2019年度に実施した上記の質問紙調査の結果については、2020年度に学会誌等へ論文を投稿し、掲載が決定している。
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