研究課題/領域番号 |
18K17661
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研究機関 | 千里金蘭大学 |
研究代表者 |
藤田 倶子 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (00453134)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 体成分 / 体組成 / サルコペニア / サルコペニア肥満 / 歩行速度 / 握力 / 地域高齢者 |
研究実績の概要 |
昨年度と同様に測定を実施した。65歳以上の参加者は男性68名、女性120名であった。 筋肉量および体脂肪量、SMI、体脂肪率、タンパク質量、ミネラル量、基礎代謝量を体成分分析装置InBody270(InBody Japan社)で、5m通常歩行速度、握力を各測定器で測定した。アジアサルコペニアワーキンググループのサルコペニア診断基準値(SMI:男性7.0kg/m 2未満、女性5.7kg/m2未満、握力:男性26.0kg未満、女性18.0kg未満、歩行速度0.8m/s以下)を用いてサルコペニア、高体脂肪率(男性25.0%以上、女性30.0%以上)かつ低SMIである者をサルコペニア肥満に分類した。2年とも測定を行った男性57名では、体脂肪率の平均値(標準偏差)が27.3(5.1)%から28.1(5.4)%(p=0.014)、タンパク質量が9.2(1.0)kgから9.1(1.0)kg(p<.001)、ミネラル量が3.2(0.4)kgから3.1(0.4)kg(p=.037)、SMIが7.2(0.7)kg/m2から7.1(0.7)kg/m2(p=.003)に変化した。女性99名のBMIの平均値(標準偏差)が22.6(3.0)kg/m2から22.4(3.0)kg/m2(p=.011)、右上肢筋肉量が1.6(0.3)kgから1.5(0.3)kg(p=.002)、左上肢が1.54(0.30)kgから1.52(0.31)kg(p=.037)、体幹が15.0(1.9)kgから14.8(2.0)kg(p=.003)に変化した。男女とも握力、歩行速度の有意差はみられなかった。地域高齢者の1年間の変化では身体機能に有意な変化はみられないものの、男性では体成分および筋肉量の減少や体脂肪の増加が、女性では筋肉量の減少が生じており、身体機能の低下に先行して体成分、体組成の変化が生じている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度の測定も昨年度と同様の老人クラブにて行い、188名の参加者があった。日程調整、研究実施場所の調整、時間調整ともにスムーズに実施できた。参加者の継続率は男性76.9%、女性74.6%であった。参加できなかった理由には体調不良や失念などが見受けられ、測定会の日時を知らせる方法について再度検討していくこととなった。 次年度の測定の日程を2か所ではすでに決定しており、フィールドとの調整はおおむね順調に進んでいる。ただし、次年度の実施時期に新型コロナウイルス感染症のように人の密集を避ける対策が不可避の場合、日程をさらに多くとって1回の測定に少ない人数で対応するなどの工夫が必要となる可能性が考えられる。 2019年度では測定結果について初めて測定した参加者に対し研究者が説明を行った。2018年度からの測定者に関しては2018年度に測定結果の見方を説明しており、2019年度では特に説明会を行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は4か年計画の3年目となり、2年後の変化を観察する。今後も継続してこれまでの測定者を測定していけるようにフィールドと調整を行っていく。2020年度の測定も実施予定である。また、測定3年目の測定結果については測定会で変化のあり様を参加者が理解できるよう結果説明会を行っていく。 測定結果を得ることと同時にこれまでの研究成果を論文化し発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
体成分分析装置を当初予定ではレンタルで計上していたため、昨年度購入により今年度はレンタル費用を計上する必要が無かった。測定会のアルバイト雇用に関しては研究フィールドに近いところの人員を確保できたため、アルバイトの交通費等に支払う金額が予定よりも少なくなった。また、予定よりもアルバイト人員を確保できなかった時もあり、人件費が見積よりも少なくなった。また、今年度は結果説明のための専門職雇用が無かった。次年度では測定結果の説明を再度丁寧に行うため、専門職雇用を行う。また、アルバイトについては人員を確保できるよう調整する。
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