研究課題/領域番号 |
18K17662
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中谷 淳子 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (60341525)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メンタルヘルス対策 / 中小規模事業場 / 産業看護職 / 企業外労働衛生機関 / 良好事例 |
研究実績の概要 |
本研究は、中小規模事業場におけるメンタルヘルス対策において、企業外からの保健師の効果的な支援方法を検討するために、活動の良好事例を分析しその特徴を明らかにすることを目的としている。 中小規模事業場へのメンタルヘルス支援の経験がある保健師11名を対象に、実施した支援で課題解決につながった良好事例や主な配慮・工夫点、企業外の立場として重要視していること、企業外であることの活動限界と工夫、自身の学習の機会等について、2019年度にインタビューした結果を分析した。良好事例として体制づくりへの支援10件、個別支援11件、組織・集団への支援が8件収集された。体制づくりへの支援では、ストレスチェックの実施体制づくり、心の健康づくり計画作成、安全衛生体制の立ち上げ、過重労働対策、休職者の復職のしくみづくり等の支援を行っていた。重視したこととして、「事業所ごとのニーズや風土に合わせる」「職場の安全衛生担当者の意識や力量に合わせた支援を行い、決して焦らない」があげられた。個別支援では、配置転換の支援、職場の人間関係の調整、自殺者の同僚の支援など事例は様々であった。どの事例も、対象者に支持的な態度で接すると同時に、安全衛生担当者と連携し客観的事実を確認すること、その上で職場や同僚・上司との業務や人間関係の調整等を行っていた。組織、集団への支援では、職場の活性化に向けたプログラム推進、ストレスチェック集団分析による職場改善支援、セルフケア研修などであった。多くのケースにおいて、担当者の電話相談を随時行っていた。企業外の保健師は、職場ごとの風土やニーズ、担当者等の意識や力量を見極め、ペースに合わせて支援を行っていた。また、事業者が自立して活動継続できるよう担当者や職場の管理職、キーパーソンへの支援を中心に行っており、中小規模事業場におけるメンタルヘルス対策を進める上で重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度中にインタビュー対象者を集めグループインタビューを行う予定であったが、全国からの参集が難しく実施しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画として、オンラインでのグループインタビューの実施、あるいは書面による意見聴取に変更して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
グループインタビュー用旅費、学会発表用旅費として計上していたが未使用であった。次年度も旅費が発生しない場合、論文作成費用等に充てる予定である。
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