研究実績の概要 |
2020年度の研究目的は、独居高齢者の地域組織活動を基盤にした健康維持の様相について構造的に明らかにすることであった。対象は独居高齢者と家族同居高齢者の合計12例で、分析方法は質的統合法(KJ法)を採用している。2019年度までにインタビュー調査及び独居高齢者5例の個別分析を終了しており、2020年度には独居高齢者と家族同居高齢者の全分析を終了した。その結果、独居高齢者が地域組織組織活動への参加によって健康を維持する構造は,【活動に充実感や心地よさを期待:配慮された運営や身になる企画】【成員との友好的系譜を形成:豊富な人生経験が生む思考の幅】【成員との友好的系譜の保持:人間関係を円滑に進める社会的スキル】【活動による苦慮で心身の余裕を喪失:時間的,心理的活動負担】【成員との関係性の中に居場所を感じる安心感:配偶者に代わる心の拠り所】【活動刺激による認知的にメリハリのある日常生活:知的刺激の享受】の6項目で構成されており相互交流が基盤になっていた.一方、家族同居高齢者の同構造を構成する要素は、【主体的に活動に取り組む:人任せにしない】【他組織との関係性に配慮:随所に気を回す】【組織における自分の在り方:人とのつながりの中の自分】【成員との心のつながり合い:他者への意識の向上】【配偶者による活動への理解:みんなのために頑張る意思を尊重】【活動が生み出す人生の充実感:外出の時間,場所,機会をもたらす地域組織活動】【活動に基づく健康管理意識の芽生え:心身の自己コントロール】という7項目であった。以上のことから、前者の構造は独居高齢者特有のものであることが同定された。
|