研究成果の概要 |
本研究の目的は,地域組織活動への参加によって健康を維持していると考えられる独居高齢者において,健康は相互交流を基盤にどのように維持されているのか,その構造を明らかにすることである.地域組織活動に参加する独居高齢者6名と家族同居高齢者6名に半構成面接調査を実施した.データは,質的統合法(KJ法)で分析した.結果,地域組織活動での相互交流は,独居高齢者に精神的充足感を提供し,彼らの平凡になる恐れのある生活の中に知的刺激を加えることで認知的にメリハリのある日常をもたらしていた.以上のことから,独居高齢者が地域組織活動を通して維持する健康とは,生活のコントロールそのものであることが示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は,民生委員や福祉協力員がまだ地域組織活動参加に至っていない独居高齢者に対し,地域組織活動への参加を働きかける際の意味付けの強化に役立てることができる.また,地域で活動する専門職が介護保険法の地域支援事業に基づく訪問等によって,社会との繋がりが脆弱で虚弱への移行が予想される独居高齢者や,その予備群への関わりを持つ際に必要とされる健康維持の観点からの参加促進の根拠を具体的に得ることに寄与し,まだ参加していない者への参加の動機付けに資することができる.そして,このことは,独居高齢者が住み慣れた自宅や地域で今の生活を続けていくことに貢献する.
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