研究課題/領域番号 |
18K17664
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
川崎 千恵 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (80648212)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 育児支援 / 児童虐待予防 / 社会的包摂 / 多機関連携 |
研究実績の概要 |
研究初年度は、①社会的孤立や社会的排除のリスクが考えられる養育者とは、どのような状態にある人びとか、についてより明確にすること、②調査の内容と調査対象者を具体化調査票を作成すること、の2点を目標とした。目標を達成するために、調査・報告書等の資料収集と文献検討を行うとともに、保健師および養育者の孤立の防止や子育て支援を目的に地域活動を行う住民に、対象者の特徴や支援の困難さなどについて、ヒアリングを行った。 その結果、既に明らかにされている知見を整理したほか、市区町村の保健師と、地域で養育者を支援する住民等の間で、情報共有や連携による支援が行われている自治体と、それ以外の自治体の間で、特に地域の支援者の、社会的孤立の状態にあり児童虐待のリスクが高い養育者の状態像について入手している情報や課題認識に、大きな差があることが明らかになった。そのため、自記式質問紙調査の内容と調査対象者を吟味しなければ、無効回答が多くなる可能性が見出された。 また、本研究が対象とする社会的包摂による児童虐待の予防を目指した支援には、「各支援者/機関の支援が有機的に機能するための連携体制」が非常に重要であり、前提条件となる可能性が明らかになった。また、養育者の背景ごとに社会的包摂による支援モデルを検討する必要があることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
業務に係る調査研究の比重が予定以上に増したこと、転職準備などから、本研究に十分な時間を割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究結果を踏まえ、次年度以降、計画の基礎調査に第1段階に位置付けていた、「養育者の社会的孤立や社会的排除の実態および子育て、健康状態について」の自記式質問紙調査を行う前に、第2段階に位置付けていた、市区町村保健師および地域活動の実施者を対象とするインタビュー調査を行い、支援モデルが必要な支援対象のクライテリアの作成、自記式質問紙調査票の項目作成・対象者の特定、「連携体制」の要素を明らかにするものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、インタビュー調査および自記式質問紙調査票の作成を行うものとする。 インタビュー調査は、育児支援と児童虐待の予防を目的に、社会的包摂に向けた支援の取組身を行っている地域活動の実施者・市区町村保健師などに、社会的孤立や社会的排除の状態にあると考える養育者の特徴、支援方法と支援のプロセス、連携体制の構築と役割分担などをその内容とする。インタビュー調査の結果と文献検討(1年目実施)の結果を踏まえ、自記式質問紙調査票の作成を行う。研究の進捗状況次第で、自記式質問紙調査票のプレテストを行う。以上に必要な、旅費・謝金/分析に係る諸経費(音声データのテープ起こし従事者等への経費等)・学会発表および参加費を計上する必要がある。
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