研究課題/領域番号 |
18K17665
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関口 雄介 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (60535095)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳卒中片麻痺 / 歩行 / 地域社会 / 動作解析 / 移動量 / 動作解析 / 運動力学的協調性 / 環境適応 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、3次元動作解析装置を用いて、ⅰ)13名の健常高齢者及び若年者の歩行中における下肢関節間の力学的な協調性への歩行速度の影響、ⅱ)6名の健常若年者の不整地歩行中における下肢関節間の力学的な協調性への影響を調べた。ⅱ)の不整地の条件下の歩行においては、人工芝生上を歩行することとした。また、ⅲ)健常若年者を対象とし、活動量計を5日間装着し装着感と固定性の確認を行った。ⅰ)においては、当初、計画されていなかったが、下肢関節間の力学的な協調性における歩行速度の変化に伴う特性及び年齢の特性は、今後、本研究を進める上で重要な知見であり把握しておく必要があると考え、実施された。 下肢関節間の力学的な協調性の解析においては、主成分分析を用いて、歩行中に各関節で発揮された力の時系列データの主成分を算出した。第1主成分は歩行中の推進力の時系列データの波形と類似していた。 ⅰ)の主な結果においては、歩行速度が増加すると、第1主成分の寄与率が低下し、第1主成分のピーク値が歩行中のより遅い時期に発現した。一方、高齢者は若年者より第1主成分のピーク値が歩行中のより早い時期に発現した。ⅱ)の不整地の条件下の結果においては、ⅰ)の実験における歩行速度の増加に伴う第1主成分に関する結果と類似していた。 速い速度または不整地の条件下での歩行中における下肢関節間の力学的な協調性による推進力の制御は時間的な変化を伴うことが明らかとなった。また、本研究結果より、設定した人工芝生の実験条件が歩行中の下肢関節間の力学的な協調性における視点から環境適応を捉える上で適切な実験条件であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度に計画していた、3次元動作解析装置を用いて健常者及び脳卒中片麻痺患者における不整地条件下での歩行の測定は、測定した被験者数が少なく未だ不十分である。一方で当初、計画されていなかったが、下肢関節間の力学的な協調性における歩行速度の変化に伴う特性及び年齢の特性は、今後、本研究を進める上で重要な知見であり把握しておく必要があると考え、実施された。その結果、屋外歩行能力に関連するパラメーターとして予想されている下肢関節間の力学的な協調性への、年齢、歩行速度、及び不整地条件の影響についての知見が得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度においては、20名の健常者及び20名の脳卒中片麻痺患者を対象とし、3次元動作解析を用いた屋外環境下での歩行測定及び、実際の生活下における活動量の計測を同時に行う。解析は、歩行時の下肢関節間の力学的な協調性と活動量の計測との関連を調べていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた、人件費の支出が不要となり、次年度使用額が生じた。本年度の予算は、実験で協力して頂いた被験者の謝礼金や研究で必要な書籍及び統計ソフトの購入費に使用することも計画している。
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