研究課題/領域番号 |
18K17665
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関口 雄介 東北大学, 大学病院, 理学療法士 (60535095)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性期 / 脳卒中片麻痺 / 歩行 / 屋外環境 / 不整地 / 活動量 |
研究実績の概要 |
平成31年度はⅰ)17名の慢性期脳卒中片麻痺患者と12名の健常者の3次元動作解析装置を用いた不整地歩行の測定と解析、ⅱ)加速度計を用いた日常生活動作上での活動量の測定と解析が終了した。 解析については、加速度計を用いた活動量測定の妥当性の検証及び5日間の日常生活動作上の活動量から1日の活動量の平均値の算出を行った。測定の妥当性の検証は、実際に計測した1分間歩行中の歩数と加速度計から得られた歩数を用いて、級内相関係数、相関係数を用いて行った。更に3次元動作解析装置を用いて測定したデータより、慢性期脳卒中片麻痺患者の不整地歩行と整地歩行時の時空間的及び運動学的パラメーターの算出を行った。算出した慢性期脳卒中片麻痺患者における1日の活動量の平均値と不整地歩行と整地歩行の運動学的パラメーターとの相関関係を調べた。 結果は、片麻痺患者の加速度計から得られたデータのうち、2例のデータが欠損していた。15例の級内相関係数と相関関係の結果はICC(3,1)=0.827 (p<0.001), r=0.827(p<0.001)であった。また、片麻痺患者の不整地歩行中の非麻痺側股関節角度が、立脚期の最大伸展時、足部離地時、遊脚期の最大屈曲位において健常者と比較し有意な差がある値となることが明らかとなった(p<0.05)。また、片麻痺患者において活動量と有意な相関関係を認めた変数は、骨盤挙上速度、足部離地時の非麻痺側足関節角度、足部接地時の麻痺側股関節屈曲角度であった。 慢性期脳卒中片麻痺患者における不整地歩行中において、非麻痺側股関節運動が特異的であることが明らかとなった。また、慢性期脳卒中片麻痺患者の活動量と関連する不整地歩行時の運動学的特性を明らかにした。 屋外環境下における歩行の運動学的特性の視点から慢性期脳卒中片麻痺患者の活動量低下のメカニズムが一部明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね、順調に測定及び解析も終了した。 具体的には、17名の慢性期脳卒中片麻痺患者と12名の健常者の3次元動作解析装置を用いた不整地歩行及び加速度計を用いた日常生活動作上での活動量の測定と解析が終了した。床反力計の故障により、当初予定していた不整地歩行及び整地歩行中の運動力学的データの取得が困難となり、運動力学的特性を明らかにすることが出来なかったが、慢性期脳卒中片麻痺患者における不整地歩行及び整地歩行中の運動学的特性を明らかにした。また、慢性期脳卒中片麻痺患者の活動量と関連する不整地歩行時の運動学的特性を明らかにした。 当初の予定と異なるが、屋外環境下における歩行の運動学的特性の視点から慢性期脳卒中片麻痺患者の活動量低下のメカニズムが一部明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては、10名の健常者及び10名の脳卒中片麻痺患者を対象とし、3次元動作解析を用いた不整地及び整地での歩行測定及び、日常生活上での活動量の計測を引き続き行う。 また、現存するデータを用いて、慢性期脳卒中片麻痺患者の歩行中における下肢の運動学的協調性を明らかにし、日常生活上での活動量との関連を調べる。具体的には不整地時における下肢の運動学シナジーの時空間パターンを調べ、脳卒中片麻痺患者の不整地時における運動学的な歩行制御戦略と日常生活上での活動量との関連を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた、人件費の支出が不要となり、次年度使用額が生じた。本年度の予算は、実験で協力して頂いた被験者の謝礼金やオープンアクセスジャーナルへの投稿費用に使用することを計画している。
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