【本研究の目的】 Mirror Neuron System (MNS) という、他者の運動を観察するだけで自身が運動する時と同様に働く神経細胞がある。本研究の目的は、(1) ヒトのMNSの活動をfunctional near-infrared spectroscopy (fNIRS) で特定することと、(2) MNSの賦活量が注意機能・気分状態に与える影響を明らかにすることである。 【実施計画】 研究期間全体では、健常成人を対象に、安静・実行・観察課題に取り組む時の脳活動、注意機能や気分の変化について検討することを計画した。最終年度である2023年度は、これまで得られたデータの解析を行うことを計画していた。 【研究の成果】 実際に運動をしている時と、運動を観察している時の両方で賦活する部位 (前頭前野) が特定されたため、fNIRSによりMNSの活動が捉えられたと考えられた。そして、観察課題時のその脳部位の賦活量と気分の検査項目 (混乱-当惑、疲労-無気力) には有意な負の相関があることが確認された。これらのことからfNIRSでMNSが特定できる可能性と、MNSの賦活と気分は関与する可能性が示された。本研究の成果は、リハビリテーション場面におけるMNS賦活の評価・訓練法の提案に繋がる可能性がある。
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