最終年度に追加した対象者は0人、研究期間全体での対象者数10名で、歩行中膝関節へのメカニカルストレスの指標であるvarus thrustが内側広筋(VM)の活動遅延を修正することで抑制するかについて探索的に検討したところ、介入前2.7±1.1°、介入後2.2±1.3°で有意差を認め(p<0.05)、内側広筋活動開始時間は介入前踵接地の-0.06±0.09秒、介入後-0.21±.1秒で有意に減少(p<0.05)し、膝関節伸展角度も介入前8.7±5.1°、介入後5.5±5.9°で有意に減少した(p<0.05)。一方で、もう一つの指標である膝関節内反モーメントは介入前0.50±0.20°、介入後0.56±0.18°で有意差を認めた(p<0.05)。内側広筋は膝関節伸展運動と膝蓋骨を内側に牽引することで膝関節を安定させる機能を持つ。膝関節は軽度屈曲位で内・外側側副靭帯が弛緩し膝関節が内・外反方向に動揺する。本研究の結果より、FES装着によりVMが踵接地に対してより早く活動したことにより膝関節伸展角度が改善し、varus thrustが抑制された可能性がある。一方で、膝関節へのメカニカルストレスの代表的指標である内反モーメントも大きくなった。従って、FESを使用した歩行練習が膝OAの予防的治療になるかを明確にするには長期的フォローアップが必要である。 本研究成果は、Journal of Orthopaedic Surgery and Researchへ投稿し、現在under review中である。
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