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2018 年度 実施状況報告書

耳内から聴取する音を利用した新しい評価方法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K17674
研究機関九州大学

研究代表者

山口 優実  九州大学, 大学病院, 言語聴覚士 (90788605)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード耳内嚥下音 / 嚥下障害
研究実績の概要

日本は超高齢社会を迎えており、それに伴い嚥下障害者の数も増加し、病院、施設、在宅など様々な場面で嚥下機能を簡便に、かつ正確に評価することが求められている。土師らは、嚥下時に耳内から記録できる高周波成分を含む、立ち上がりの鋭いクリック音は、嚥下の際に生じる耳管の開大・閉鎖と関連しており(2015)、咽頭期嚥下のシークエンス早期のある定点で生じている可能性がある(2017)と推察している。本研究は、この耳内嚥下音を用いた新しい嚥下のスクリーニング検査を開発し、臨床応用へと発展させていくことを目的としている。現在のところ、嚥下造影時に耳内嚥下音を録音し、音声を解析できるシステムを構築することができた。さらに、嚥下困難感を主訴として当科を受診し、当科の耳鼻科医が耳の病変がなく嚥下機能に異常がないと判断した、脳血管障害や神経筋疾患の基礎疾患のない13症例に対し、嚥下造影検査と耳内嚥下音とを同時記録し解析した。その結果、13例全ての耳内嚥下音から特徴的なクリック音が同定でき、それが生じるタイミングは鼻咽腔閉鎖および喉頭挙上の開始にほぼ一致していたことがわかった。この特徴的なクリック音は、喉頭挙上や食塊の咽頭通過の際に生じる音ではなく、咽頭期嚥下開始時に生じる耳管の開大・閉鎖に関連した音である可能性が極めて高いことを支持するものであった。従来、嚥下と耳管開大には密接な関連があることはよく知られており、このクリック音は咽頭期嚥下のシークエンスのある定点を示しているのではないかと考えられる。今後、さらに嚥下正常例のデータを増やして嚥下障害例との比較を行い、この耳内嚥下音をどのように応用できるか検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究システムを構築し、正常例のデータの解析を行っている。

今後の研究の推進方策

さらに嚥下正常例のデータを増やして、嚥下障害例との比較を行う。

次年度使用額が生じた理由

機材のセットアップに時間がかかったため、次年度に新たな不足分の機材を購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 反復唾液飲みテストと耳内嚥下音を用いた嚥下困難感の客観評価の試み2019

    • 著者名/発表者名
      山口優実、梅崎俊郎、土師知行、菊池良和、村上大輔、田浦政彦、吉村久美子、澤津橋基広、中川尚志
    • 学会等名
      第42回日本嚥下医学会
  • [学会発表] 音声認識ソフト(UDトーク)を用いたプロボックス装着後の発話明瞭度の客観評価2019

    • 著者名/発表者名
      山口優実、澤津橋基広、菊池良和、村上大輔、山本陵太、中川尚志、梅崎俊郎
    • 学会等名
      第63回日本音声言語医学会

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公開日: 2019-12-27  

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