研究課題/領域番号 |
18K17675
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森内 剛史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (40814124)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 運動イメージ / 運動イメージ評価 / 運動イメージ鮮明度 / 運動イメージ能力 / 経頭蓋磁気刺激 / 運動誘発電位 |
研究実績の概要 |
本研究は,リハビリテーション領域においても運動療法を補完する手法の一つとして応用されている運動イメージに関して,その評価方法の確立に向け,運動イメージ課題に対して,どの程度鮮明にできたかを主観的に評価する運動イメージの鮮明度評価としてのVisual Analogue Scale(VAS)の値と,対象者の運動イメージ能力を評価するMovement Imagery Questionnaire-Revised(MIQ-R)が神経生理学的指標である経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation;TMS)による運動誘発電位(Motor Evoked Potential;MEP)振幅との関係性について検討し,VASとMIQ-Rのどちらの評価の方が,脳内の活性化とより関連性があるか検証することを目的とした. 令和元年度は,本実験としてVASならびMIQ-RとTMSによるMEP振幅との関連性についての検討を行った.TMSは,刺激タイミングと運動イメージ課題を同期させるために,一人称視点で撮影したピアノ演奏課題を観察しながら運動イメージを実施し,鍵盤を右母指または小指で押さえたタイミングで刺激を与え,右手の短母指外転筋(APB)と小指外転筋(ADM)から導出されたMEPを指標とした.能力評価(MIQ-R)とMEPとの関連性は,初期評価のMIQ-Rの合計点と50試行で得られたMEPの平均値との関連性を,鮮明度評価(VAS)とMEPとの関連性は,MI課題を10試行実施する毎にVASを実施し,10試行で得られたMEPの平均値と対応するVASの値との関連性について解析した. 予定していた対象者数のデータ収集は終了し,VASとMEPとの間のみ,有意な正の相関関係が認められた.学会報告でディスカッションを行った後,論文執筆も終え,現在欧文雑誌へ投稿している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の途中で当初予定していた研究計画を修正し,実験で用いる課題の再考なども実施していたため,やや遅れていたが,研究計画の修正後は若干予定よりも実験データ収集に時間を要したが,学会発表,論文執筆,投稿まで到達することができた.研究計画の見直し後は比較的計画通りに進捗できたことから,おおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
令和二年度の計画として,現在論文投稿中であるため,まずは査読者とのやり取りの中で,採択されるように向けた準備,対応を実施していく. 同時に,次の実験計画も進めていく.これまでの研究で,運動イメージ中における脳内の興奮性については,運動イメージ鮮明度との関連があることが明らかとなった.今後実際の運動イメージトレーニングにおいて,その後のパフォーマンス変化の観点から,運動イメージ中の鮮明度の違いにより,パフォーマンスの変化にどのような影響が与えられるかについて,また,鮮明度評価のみならず,運動イメージ能力や神経生理学的評価においても同様にパフォーマンス変化との関連性を見ていく中で,実践的な運動イメージ評価の確立に向けた多面的評価を検討していきたいと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に生じた研究計画の修正に伴い,実験データ収集に時間を十分かけるため,当該年度に予定していた国際学会への参加を見送ったことにより,大きく実支出額が少なくなり,次年度使用額が生じた.次年度は,国際学会への参加も予定しており,研究充足に向けた新たな機器の購入も予定している.
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