研究課題
研究最終年度も,本研究の遂行に必要な患者情報を登録するデータベースの運用を継続した. また,心理社会的要因の指標である社会的フレイルを合併することが心不全の不良な予後に関連することを明らかにし,その成果を国際誌に発表した.本研究期間を通じて,(1) 入院中の高齢心不全患者では,心臓リハビリテーション開始時の栄養状態 (MNA-SF) と摂取エネルギー量が退院時の生活自立度を予測すること,(2) 高齢心不全患者において,退院時の摂取エネルギー量が全死亡の独立した予測因子であり,栄養状態に加えて摂取エネルギー量を評価することは全死亡リスクの層別化に有用であること.(3) 摂取エネルギー量と全死亡ハザード比との容量反応曲線から 25-40 kcal/kg/日の摂取エネルギー量が死亡リスクを低減する至適範囲であること,(4) 慢性心不全において血漿中の 3-メチルヒスチジン濃度は骨格筋量や栄養指標 (MNA-SF,アルブミン,ヘモグロビン) といったカヘキシアの指標と負に相関すること,(5) DEXA 法による筋肉量をスタンダードとして,身体計測指標と年齢,性別から高精度に筋肉量を予測する式を開発したこと,(6) 予測式を用いて算出した推定骨格筋量は,DEXA 法による実測骨格筋量と同程度の精度で心不全症例の予後を予測し,その予測精度は既報の予測式による推定骨格筋量または形態指標のみの予測精度よりも優れていること,(7) 慢性心不全症例の 40% で骨粗鬆症を合併しており,一般住民のデータと比べて明らかに高率だであり,骨粗鬆症の重症度は BNP や腎機能などの心不全予後規定因子で調整後も独立して不良な転帰を予測すること,(8) 入院中の高齢心不全では,退院時点の生活機能 (Barthel Index スコア) が全死亡発症と強く関連しており,全死亡リスクの上昇は生活機能の軽度低下 (退院時 Barthel Index <85 点) から始まること,などが明らかになった.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 7件)
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