研究課題/領域番号 |
18K17678
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
上岡 裕美子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (70274983)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 訪問リハビリ / 調査指標 / 日常生活活動向上 / 社会参加向上 / 生活空間拡大 |
研究実績の概要 |
目的:今後の訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)の効果検証に向けて、訪問リハ利用者の活動と参加における変化を捉えることのできる調査指標を確認した。 方法:前向き調査による観察研究。調査時点は、開始時、3か月後、4か月後の3時点。対象者は発症から1年未満の訪問リハ利用者とした。進行性疾患、頚髄損傷完全型、中枢神経変性疾患による認知症等を有する者は除外した。調査指標は①日常生活活動はFunctional Independence Measure(FIM)、②家庭生活は国際生活機能分類(ICF)の活動と参加の領域から「第6章 家庭生活」より6項目(各0~4点 24点満点)、③社会生活は同じくICFの「第9章 コミュニティライフ・社会生活・市民生活」より5項目(各0~4点 20点満点)、④生活空間はLife-Space Assessment(LSA)、⑤目標達成度はCanadian Occupational Performance Measure(COPM)を用いた。 結果:調査開始時の対象者70人のうち、6か月後調査まで完遂した47人を分析対象とした。内訳は、男性57%、平均年齢77歳、脳血管疾患30%、発症受傷から調査開始までは9か月~12か月未満が49%であった。3調査時点間で有意差が認められたのは、FIM運動、FIM合計、社会生活、LSAであった(一元配置分散分析、順にp=0.022, 0.049, 0.006, 0.025)。COPM遂行度も有意差が認められた(Friedman法、p=0.004)。いずれも向上の変化を認めた。 以上より、FIM、LSA、COPM、およびICFの社会生活に関する項目を点数化する方法によって、訪問リハ利用者の活動と参加の変化を捉えることができることが確認され、これらの指標を、今後の訪問リハの効果検証に向けた調査研究に使用し得ることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、今後の訪問リハの効果検証に向けた事前調査として、訪問リハ利用者の変化を捉えることのできる評価指標を確認することができた。 今後は、訪問リハの効果検証に向けた本調査に進む。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、訪問リハの効果検証に向けた本調査に入るが、当初の研究計画では、施設ごとの無作為化比較対照試験としていたところ、研究として操作的に訪問リハを実施しない群を設けることについて、訪問リハ事業所の協力を得ることが困難であることが分かった。 そこで、発症から1年未満の65歳以上の初発脳血管疾患者に対して、すでに訪問リハが導入されている群(あるいは新規導入者)と、導入がされていない群との比較による、比較対照研究(観察研究)により、訪問リハと日常生活、家庭生活、社会生活、生活空間のひろがりとの関連性を検討することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、23,617円生じた。 この金額と翌年度分の助成金とを合わせた使途計画は以下の通り。 通信運搬費:200千円(調査協力施設募集、調査票等の郵送代)、印刷費:50千円(調査票等の印刷代)、消耗品:20千円(封筒、印刷用紙等の文具)、学会参加旅費:50千円、手数料:100千円(論文投稿時の英文校閲料)以上
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