研究実績の概要 |
訪問リハビリテーション利用者の生活機能の変化を検証するため、発症・受傷から1年未満の訪問リハ利用者を対象に、茨城県内多施設共同による6か月間の前向きコホート研究を行った。調査を完遂した47名を分析した。脳血管疾患30%、骨関節疾患23%、男性57%、平均年齢76.7±11.1歳。その結果、基本的な日常生活活動(ADL)、社会生活、生活空間のひろがりが向上し、特に向上するのは、移動・排泄・入浴に関する動作、コミュニティライフ・レクリエーションとレジャーへの参加、自宅近隣への外出頻度であることが確認された。要介護度別では、要介護3および4の向上変化が大きく、中・重度者への関わりが効果的である可能性が示唆された。 次に、訪問リハの効果を検証するため、脳血管疾患発症から1年未満の者を対象に、全国多施設共同で12か月間の前向き2重コホート研究を行った。調査時点は、ベースライン、3か月後、6か月後、12か月後とした(2019年5月~2020年4月)。12か月間の調査を完遂した訪問リハ導入群19名、コントロール群3名を分析した。その結果、導入群は①基本的ADL自立度、②手段的ADL参加度および③社会生活参加度が有意に改善した(①Functional Independence Measure; ベースライン94.6±25.6→12か月後100.3±25.1点 p=0.001, ②ICF domestic life; 18.9±4.9→16.5±6.6点 p=0.017, ③ICF community and social life; 34.2±8.1→28.7±12.1点, p=0.002, ②と③は低得点ほど活発な参加)。一方、コントロール群は、いずれの指標においても有意な変化は認められなかった。 以上より、訪問リハビリテーションは生活機能の向上に有効であると考えられた。
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