研究課題/領域番号 |
18K17680
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
荒川 英樹 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60746436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロボットリハビリテーション / 歩行訓練 / 転倒予防 |
研究実績の概要 |
リハビリテーション(リハ)においては、原疾患に対する根治療法の開発も重要であるが、併存する障害に対する治療法の確立が最重要事項である。特に歩行の再獲得は在宅生活での基盤要素であり、患者や家族の最大の希望でもあり、現在、歩行訓練の効果を最大化し、転倒予防などの治療者側の負担軽減をも含めた多様なロボットリハ装置が研究、開発されている。本研究では、福祉機器である従来の電動車いすに対して、①歩行を感知して後方に自動追随する機能、②手すりを全周性のサークルタイプとすること、③起立や着座を介助する座面昇降機能、などを追加し新規ロボットリハ装置として歩行訓練に応用することとした。本研究の目的は、電動車いす型新規ロボットリハ装置を活用して歩行訓練を行うことにより、自主的な活動性を高め歩行能力を効果的に改善し得るか、である。 平成30年度は、①歩行訓練の対象となる歩行障害者の特徴を調査し使用の可否を検討すること、②ロボットリハ装置の使用を開始し使用感や安全性を確認すること、を目標とした。①に関しては、横浜市立大学附属病院リハ科では年間約2000名の新規リハ対象患者がおり、そのほとんどにおいて理学療法が処方され、歩行訓練などの運動療法が実施されている。従来からリハ医療の対象疾患と考えられている脳血管疾患などの神経疾患と、骨関節疾患を中心とした整形外科疾患のほか、感染症や癌に対する長期化学療法や手術治療、緩和治療などの多くの患者が、高齢化をベースに治療中の低活動化に伴い歩行障害を呈し、歩行訓練を必要としていることが分かった。また歩行障害を理由に自宅退院が困難であるため、転院や施設入所が必要となっている状況が確認できた。②に関しては、横浜市立大学における倫理審査承認を受けることができておらず、リハ装置を使用した歩行訓練の実施には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
横浜市立大学における研究実施のための倫理審査の承認が完了していない。そのため、歩行障害を有する患者に対して、ロボットリハ装置の実際の歩行訓練への導入が行えていない状態である。また平成31年4月より、研究を実施する医療機関の変更を予定しており、今後は宮崎大学医学部を実施主体として研究を継続する予定としている。 また、ロボットリハ装置の特徴である自動追随機能の使用者を感知する足元部分のセンサーに対して技術的な調整が必要であるため、協力企業において修正を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年4月からは宮崎大学医学部での研究継続を行う。そのため、新たに臨床研究に対する倫理審査申請、およびロボットリハ装置の宮崎県への移送などを行い、歩行訓練への導入を開始する予定としている。 ロボットリハ装置の安全性に関しては、センサー機能などを含めて健常者を対象とした検討から行い、歩行障害者に対する歩行練習、リハビリテーション治療への活用へ広げていく方針としている。 ①高齢で主に骨関節疾患を主体として歩行障害を有する患者、②脳血管疾患等による片麻痺などの運動障害により歩行障害を有する患者、③パーキンソン病などの神経疾患による運動障害により歩行障害を有する患者、④様々な疾患による長期間の入院に伴う低活動によって筋力低下(廃用)をきたし歩行障害を呈した患者、などを研究対象として歩行訓練を行う予定である。いずれの状態の対象患者も、十分に確保が可能であり、理学療法士の協力も得られる体制を整えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
横浜市立大学での研究実施を予定し、ロボットリハ装置の移送や補修などに係る経費として計画していたが、平成31年度より研究実施を宮崎県に変更することとなった。そのため、平成30年度に横浜市立大学へのロボットリハ装置の移送を行う必要がなくなったため次年度使用額が生じる結果となった。平成31年度は宮崎県へのロボットリハ装置の移送を行う予定としており、その輸送費や定期的メンテナンスにかかる費用として使用する予定である。
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