MCIの早期発見方法は確立されておらず、発見が難しいのが現状である。そこでMCIの早期発見を目的として,音声の提示から音声の感情を判断するまでの時間を評価として用いた音声認識評価を,MCIをスクリーニングするための有効な評価になるか検討した。 研究協力者は、日本のA市広報により募集した一般的には健康な中年期,高齢期のボランティア女性77名とした。軽度認知症(MCI)を調べるスクリーニング検査として,MoCA-J(Montreal Cognitive Assessment)を用いた。神経内科医による診察も行った上で、MoCA-J25点以下をMCI疑い群,26点以上を非MCI疑い群として,音声認識は4つの異なる感情を表す音声(受容,拒否,強がり,ふざけ)を用いて行った。課題の実施方法は,PCにて音声刺激と画像刺激をタイミングコントロールして呈示できるプログラムを用いた。 研究協力者77名のうち,MoCa-J25点以下で、神経内科医によりDSM-5診断基準、CDR診断基準を用いてMCI疑いと診断された16名をMCI疑い群とした。またMoCa-J 26点以上で神経内科医により非MCI疑いと診断され、MCI疑い群の年齢(±2歳)のマッチングをかけた16名を非MCI疑い群として比較検討を行った。 その結果、拒否の音声認識1秒の遅延は,MCIのリスクが約34倍となる音声があることが明らかになった。 MCIの超早期のスクリーニングとして,音声認識評価を用いることが有効であると考えられた。
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