研究課題/領域番号 |
18K17684
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡 真一郎 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 助教 (30637880)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 立位姿勢制御 / 頭頂葉 / 脳内情報処理 / 半球間抑制作用 / 経頭蓋直流電流刺激 / 経頭蓋交流電流刺激 / ニューロリハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は,立位姿勢制御時における視空間情報および前庭情報を担う頭頂葉において,半球間抑制作用と周波数特性を解明し,周波数特性に合わせた視覚と前庭刺激を併用したニューロリハビリテーション法を開発することである. 2019年度は,立位姿勢制御における頭頂葉脳内情報処理の周波数特性を探るため,頭頂部に対する経頭蓋交流電流刺激(tACS)を用いて,刺激前後の重心動揺検査を行った.刺激電極は,5×5cmのラバー電極を使用し左右の頭頂部であるP3とP4に設置した.刺激条件は,刺激強度1.0mA,周波数10Hz,20Hz,40Hz,Sham刺激の4条件で15分間刺激した.各条件の刺激間隔は,2日以上設けた.tACS前後の重心動揺検査は静止立位,頭部回旋立位,ラバーマット上静止立位,頭部回旋立位,ラバーマット上頭部回旋立位での開眼,閉眼条件で測定した.測定周波数は,静止立位およびラバーマット上静止立位が20Hz,頭部回旋立位およびラバーマット上頭部回旋立位では100Hzとした.その結果,ラバーマット上閉眼では20Hzで減少し,ラバーマット上頭部回旋立位では,20Hz開閉眼,40Hzでは開眼条件で減少した.前庭覚で姿勢制御されるラバーマット閉眼条件は,頭頂葉における前庭情報処理は20Hzで行われていることが示唆された.また,ラバーマット頭部回旋の開閉眼条件は,頭部回旋による前庭刺激,視覚刺激,頭部回旋運動による頚部体性感覚といった複合的な感覚刺激が入力されている.頭頂葉における多感覚情報処理は40Hzで行われていることが示唆された.tACS後に変化した身体動揺の詳細な特性については,現在解析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前庭機能による姿勢制御条件を追加するため,再度予備実験を行ったことで本実験の開始時期が遅延した.その後,tACSによる立位姿勢制御実験の進捗状況は順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,立位姿勢制御の脳内の情報処理機構を解明するため,本年度実施した測定条件のうち,頭部が動かない静止立位条件,ラバー上静止立位条件での脳波測定を実施する.そして,視運動刺激,前庭刺激を用いたニューロリハビリテーションの開発へと移行する.ニューロリハビリテーションとして,ヘッドマウントディスプレイを用いた視運動刺激,頭部運動による前庭刺激を用い,ニューロリハビリテーション前後の身体動揺と脳活動の関係性について検討する.ニューロリハビリテーションの方法は,tACS後に身体動揺の変化を認めた刺激条件と脳波測定の結果をもとに決定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況から,当初予定していた国際学会の発表を取りやめたため,旅費,学会参加費が不要となった.また,英語論文についての校正費は今年度末までに投稿準備が完了しなかったため,計上しなかった. 今年度の使用計画として,脳波測定とニューロリハビリテーションの実験計画をしている.そのため,脳波解析ソフトウエア,ニューロリハビリテーションで使用するデバイス一式(ヘッドマウントディスプレイ,視覚刺激ソフトウエア),国内学会発表の旅費,学会参加費,英語論文についての校正費を計上する.
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