研究課題/領域番号 |
18K17686
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
杉原 匡美 順天堂大学, 医学部, 助教 (80648163)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 運動療法 / 拡張型心筋症 / 心不全 / 不整脈 / レニン・アンギオテンシン阻害薬 |
研究実績の概要 |
遺伝性拡張型心筋症(DCM)は、心不全(CHF)の原因疾患の一つであり、左心室の拡大と収縮能低下を特徴とする心筋症で、約50%が遺伝子変異を伴う家族性である。さらに家族性DCMでは30~40%に心室性の致死性不整脈による突然死が報告されている。DCMにおいてCHFが進行する過程では、交感神経系、レニン・アンギオテンシン系、サイトカイン等が活性化し、収縮力低下を代償しようとするが、やがて肺うっ血等の心不全症状が現れる。一般に、CHFでは運動療法により臨床症状の改善や再入院率が低下する等の報告があり、CHFのガイドラインにも掲載されている。しかし、DCMではCHFの重症化や致死性不整脈による突然死が多く、患者を対象にした運動療法の検討は危険を伴うため効果が明らかでない。研究者は、森本らにより作出されたヒト家族性DCMに似た特徴をもつモデルマウス(以下DCMマウス)を用いてDCMにおける運動療法の効果を検討してきた。その結果、若年より頻回(毎日~2日毎)の自発的運動をオスのDCMマウスで行ったところ、明らかな寿命延長効果が認められた。また、より頻繁な自発運動の方が心機能保護に効果があること、それにはイオンチャネルの遺伝子発現変化も関与していることが明らかになった。本研究では、それを発展させて観察を行っている。 既にこのDCMマウスにおいて効果が報告されている、レニン・アンギオテンシン阻害薬と自発運動との併用療法について検討してきた。未だ個体数が不十分であるが、併用群とレニン・アンギオテンシン阻害薬ともに心重量・体重比の減少が認められている。また、雌雄での自発運動に対する効果には差があることが分かってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究では、トロポニンT遺伝子変異をノックインしたマウスのホモ接合体をDCMモデルマウスとして用いている。メスのホモ接合体は妊娠、出産に耐えられないため、ヘテロ接合体(以下のDCMマウス)を用いて自家繁殖している。2019年度は、改築後の動物飼育室および動物実験室でDCMマウスの飼育および繁殖を行った。改築前の施設よりも仔マウスの発育が悪く、これまでよりも離乳の時期が遅れたため、計画した週齢では自発運動を始められないため、断念したことも多かった。計画に沿って自発運動やレニン・アンギオテンシン阻害薬の投与を始めても、発育がままならず、データにならないと判断した個体もいた。今後、自発運動や薬剤投与のプロトコルを再検討しながら、個体数を増やす必要がある。 さらに、研究代表者の当研究以外の実務が増加したことも、実験計画遂行が遅延する要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の計画が遅延しており、予定していた実験が滞っている。必要と考えられる計測やデータ解析を遂行していく。以前、飼育室の移動により繁殖能力が低下したことがあり、改装後の飼育室で可能な自発運動の開始時期について、再度確認していく。DCMマウスにおける自発運動の効果のメカニズムも、解明が不十分な部分があり、引き続き検討していく。自発運動とレニン・アンギオテンシン阻害薬との併用療法の効果、自発運動の性差における効果の違いについて、解析を続けていく。研究成果を随時学会にて発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
飼育室の改装および移動による発育状況の変化や、研究代表者の当研究以外の実務の増加により、2019年度の研究計画が遅延し、利用額が減少した。この資金は、引き続き研究計画を遂行するための動物飼育費や、試薬等を得るために用いる。 尚、学会発表に関する費用については、2020年3月に開催された学会に参加したため、2020年度に計上する運びとなった。
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