研究課題
本研究の目的は、高齢者の呼吸筋力を増強する水中運動プログラムの作成およびその効果判定をすることである。そのために30年度は①異なる水深における定位置での呼吸筋負荷運動が高齢者の呼吸筋疲労に与える影響について調査する、②異なる水中歩行速度が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査する、ことを目的とし実施した。目的① 被験者9名(年齢:67.3±2.2歳)に対し、水深レベル(臍・第4肋間・鎖骨下)の3条件で、吸気時の最大口腔内圧(PImax)のの 30% 負荷に設定した吸気負荷装置(Threshold IMT)を使用し、吸気負荷呼吸を1分間 15 回の頻度でメトロノームに合わせ15分間実施した。そして、実施直後の最大口腔内圧を測定し、急性効果を確認した。結果は、鎖骨下レベルの吸気時最大口腔内圧は臍および第4肋間レベル時と比較し有意に低下した。呼気時口腔内圧は3条件で変化を認めなかった。よって、本研究より定位置での水中運動において吸気筋に影響を与えるには鎖骨以上の水位条件が必要であると示唆された。目的② 被験者9名(年齢:67.3±2.2歳)に対し、第4肋間以上の水深で、25mプール歩行を実施し、時速1km・2km・3kmで15分間の歩行を実施し、その直後の呼吸筋力(吸気・呼気時口腔内圧)の変化を確認した。現時点では、時速1・2kmまでのデータを取り終えているが、時速3kmのデータは継続中である。現時点での結果は、時速1kmでは歩行前と比較し、呼吸筋力には変化を認めておらず、時速2㎞では、歩行前と比較し呼気時の口腔内圧が低下する傾向を示している(p=0.07)。まだ、時速3kmを計測途中であるため、終了次第、各条件間での比較を実施する。
2: おおむね順調に進展している
30年度は①異なる水深における定位置での呼吸筋負荷運動が高齢者の呼吸筋疲労に与える影響について調査する、②異なる水中歩行速度が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査する、ことを目的とし実施した。現在目的②の途中である。被験者の都合により、研究を5月中旬および6月上旬に実施予定であるが、6月までには終了予定である。
31年度は目的③「長期間の水中歩行において高齢者の肺機能・呼吸筋力が増強するか検証する。」を実施する。そのためには、目的②「異なる水中歩行速度が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査する」の結果を解析し、呼吸筋力に影響を与える歩速を調査したうえで、呼吸筋力に影響を与える水中歩行の条件を確定する。そして、その条件にて12週間水中歩行を実施し、肺機能および呼吸筋力増強を認めるかどうかを確認する。ただし、時速3kmの場合には、今までの被験者の方で、心拍数が非常に多くなる方がおられたため、必ず歩行時の脈拍は可視化できる状態で、研究を実施する予定である。
研究の目的②の途中であり、次の研究日程が本年度の5月と6月になり、この被験者におけるプール使用料を使用しなかったために、次年度使用額が生じたと思われる。予定としては、研究を5月中旬および6月上旬に実施予定であり、6月までには終了予定である。
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Archives of Physical Health and Sports Medicine
巻: Volume1 ページ: 15-19