研究課題/領域番号 |
18K17698
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
山科 吉弘 藍野大学, 医療保健学部, 准教授 (80585456)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水中運動 / 口腔内圧 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者の呼吸筋力を増強する水中運動プログラムの作成およびその効果判定をすることである。そのために2019年度は①異なる水中歩行速度が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査する ②予測最大心拍数の40%,50%,60%負荷における水中歩行が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査することを目的に実施した。 目的① 被験者9名(年齢:67.3±2.2歳)に対し、第4肋間以上の水深で、25mプール歩行を実施し、時速1km・2km・3kmで15分間の歩行を実施し、その直後の呼吸筋力(吸気・呼気時口腔内圧)の変化を確認した。時速1kmでは歩行前と比較し、呼吸筋力には変化を認めておらず、時速2㎞では、歩行前と比較し呼気時の口腔内圧が低下する傾向を示している(p=0.07)。時速3kmでは歩行前と比較し呼気時の口腔内圧は有意に低下し(p<0.05)、さらに1kmと比較して有意に呼気時の口腔内圧は低下した(p<0.05)。どの強度においても吸気時の口腔内圧には変化を示さなかった。 目的② 被験者13名(年齢:65.6±1.2歳)に対し、第4肋間以上の水深で、25mプール歩行を実施し、予測最大心拍数の40%,50%,60%負荷で15分間の歩行を実施し、その直後の呼吸筋力(吸気・呼気時口腔内圧)の変化を確認した。予測最大心拍数の60%負荷において、歩行前と比較し有意に呼気時の口腔内圧は低下し、さらに40%および50%負荷と比較し(p<0.05)、歩行後の呼気時口腔内圧の低下率は有意に大きかった(p<0.05)。どの強度においても吸気時の口腔内圧には変化を示さなかった。 今後は、長期間の水中歩行によって呼吸筋力を高めることができるかどうかを検討するために、8週間の水中歩行プログラムを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は①異なる水中歩行速度が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査する ②予測最大心拍数の40%,50%,60%負荷における水中歩行が高齢者の呼吸筋疲労に及ぼす影響を調査することを目的に実施した。 被験者数は予定よりは少なかったが、目的①・②とも終了することができたため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は目的③「長期間の水中歩行において高齢者の肺機能・呼吸筋力が増強するか検証する。」を実施する。 今までの条件をもとに、水中歩行群は第4肋間以上の水位で、予測最大心拍数の60%負荷において15分間の水中歩行を週に4回実施し、それを12週間実施する。また、陸上歩行群は予測最大心拍数の60%負荷において15分間の陸上歩行を週に4回実施し、それを12週間実施する。そして、水中歩行の結果と陸上歩行の結果を比較する。 ただし、日々の体調管理を徹底し、無理させることなく安全に水中歩行できるように、日々の問診および歩行時の脈拍は可視化できる状態で研究を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) 物品費に差が生じたのは、プールサイドで電源を施設にお借りすることができず、電池で使用できる呼吸機能検査測定器を購入したためである。謝礼金が少なかったのは、元々プールを利用されている方が被験者となっていただいたため、謝金をお断りされるケースが多かったためである。旅費が少なくなったのは、COVID19によって2月および3月の学会が中止になったためである。 (使用計画) 2020年度は長期の水中歩行が呼吸筋力を向上できるかどうかについて検討するため、施設使用料や被験者の謝金が必要となる。さらに消耗品としてマウスピースなどを購入する予定である。COVID-19の影響により、学会の開催が行われるかどうかは不明であるが、国際学会へ参加予定である。
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