研究課題/領域番号 |
18K17699
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研究機関 | 神戸国際大学 |
研究代表者 |
大谷 啓尊 神戸国際大学, リハビリテーション学部, 助教 (50732997)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 姿勢制御 / 恐怖情動 / 内的注意 / 外的注意 |
研究実績の概要 |
恐怖情動が惹起される環境下での内的・外的注意のコントロールが姿勢制御に及ぼす影響について検証した。健常若年者16名(男性9名 女性7名)を対象とした。実験デザインは2×2クロスオーバ-デザイン(Ⅰ期・Ⅱ期×内的・外的注意コントロール)とし、被験者はランダムに割り付けられた。 各期の実験課題では、国際情動写真集から選択された恐怖画像あるいは中性画像が前方に提示され、被験者はその画像をみながら重心動揺計上で立位を保持してもらった。画像が提示されている間、内的注意コントロール条件(内的条件)では片方の肘を軽く曲げた状態で手の指先を極力動かないよう注意しながら立位を保持するよう指示し、外的注意コントロール条件(外的条件)では提示画像の中央に同時に提示された垂直線に対し身体を合わせながら立位を保持するよう指示した。Ⅰ期とⅡ期のウォッシュアウト期は2週間以上とし、その後条件を入れ替えて同様の測定を実施した。 各実験において情動が惹起されていることを確認するために視覚的アナログスケール(VAS)を用いて評価した。姿勢制御の指標は、恐怖情動によって生じた重心動揺変化を評価するために、恐怖画像と中性画像提示時の重心動揺の差分から変化量(Δ重心動揺)を求めた。 実験の結果、恐怖画像ではVASが有意に大きく、主観的な恐怖感が惹起されていることが確認された。Δ重心動揺は、内的/外的条件間の違いによる主効果、試行順序と注意条件の交互作用が認められた。Ⅰ期における内的条件でΔ重心動揺が有意に減少した。 以上より、恐怖情動が惹起されているときの外的・内的注意のコントロールは姿勢制御に影響を与えることが示唆された。内的注意を高めることで重心動揺が変化したことは、転倒恐怖感を有する高齢者の姿勢制御の特徴と類似している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画よりもやや遅れている。コロナ禍により実験が中断・制限される時期があったため、当初の計画よりも遅れが生じた。それに伴いデータ収集は終了したもののデータ解析がやや遅れており、現在解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
データ解析は間もなく終了する。終了後は研究成果の公表に向けた準備を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、コロナ禍の影響により研究へのエフォートを割くことが困難な状況であったことから、成果発表にかかる旅費や校正・投稿費などを計画通りに使用できなかった。そのため当初の使用予定額と大幅な相違が生じてしまった。今年度は解析に必要なソフトウェア更新や成果発表にかかる費用に充てる予定である。
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