研究課題/領域番号 |
18K17700
|
研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
信迫 悟志 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50749794)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 発達性協調運動障害 / 確率共鳴 / 閾値下振動触覚ノイズ刺激 / 微細運動スキル / 感覚-運動統合 / 知覚バイアス / シングルケーススタディ / 二重盲検介入研究 |
研究実績の概要 |
発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder: DCD)の診断を有する児に対して,閾値下振動触覚ノイズ刺激装置を使用して,確率共鳴(Stochastic resonance: SR)を付与した際の感覚-運動統合機能,知覚バイアス,微細運動スキルに与える効果をシングルケーススタディで検証した。感覚-運動統合機能の測定には映像遅延検出課題を使用し,知覚バイアスの測定には視覚-触覚順序判断課題を用いた。SR付与条件はSRあり条件とSRなし条件によるブロックデザインとした。その結果,SRを付与することで,感覚-運動統合機能が向上し,視覚バイアスが減少し,微細運動スキルが有意に即時改善することを明らかにした。 シングルケーススタディの成果に基づき,DCDの診断を有する30児に対して,SRを付与した際の微細運動スキルに与える効果を二重盲検介入研究で検証した。SR付与条件はSRあり条件とSRなし条件によるブロックデザインとした。その結果,SRを付与することで,微細運動スキルが有意に改善することを明らかにした。上記2つの研究によって,SRの付与が,即時的にDCDを有する児の微細運動スキルを改善することが示された.しかしながら,SRあり条件の直後のSRなし条件においては,その改善効果が消失していることから,改善効果を維持する方法に関する更なる研究が必要であることが示された. その他,定型発達児においては,触覚バイアスに対して視覚バイアスが増強するほど,微細運動スキルが低下すること,成人と比較して,運動主体感のための時間窓が短縮していることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発達性協調運動障害を有する児に対する確率共鳴の効果検証は概ね完了したため,「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後,確率共鳴の長期効果の検証へと進める予定である。 加えて,運動観察による介入の効果検証も進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画では,書字能力を測定するための筆圧測定システム一式を計上していたが,アウトカムが多くなり,被験児に負担がかかる懸念を考慮して,アウトカムに加えなかった。しかしながら,令和2年度には完備し,アウトカムとして使用する予定である。 加えて,予定通り学会発表,論文投稿に必要な経費として適切に使用する予定である。
|