研究課題/領域番号 |
18K17701
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
蜂須賀 明子 産業医科大学, 医学部, 助教 (90646936)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 運動単位数 / MUNE / Martin-Gruber吻合 / 神経再生 / 手根管症候群 / 肘部管症候群 / 神経伝導検査 |
研究実績の概要 |
研究課題である「Martin=Gruber吻合(MG吻合)の吻合枝の運動単位数と神経再生への寄与解明」は、遠隔筋由来の活動電位除外に基づく、より正確で定量的な運動単位数推定法(MUNE新法)を用いて、Martin-Gruber吻合における吻合枝の運動単位数と、末梢神経損傷合併例での臨床症状との関連を明らかにすることを目的とする。
1)MUNE新法:令和元年度に、尺骨神経(小指外転筋)MUNEにおける遠隔筋由来の活動電位を除外することで得られる正確で定量的な運動単位数推定の手技を確立した。令和二年度は、MUNE新法を応用して、既存のMUNE市販プログラムに「MUNE新法」を取り入れた「MUNE新法市販プログラム」の開発を、企業・他医療施設と共同研究契約のもと進め、研究使用できるプロトタイプ初版を作成した。令和三年度は、プロトタイプ初版の検証と改良を行い、プロトタイプver.2の仕様が完成した。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、協議が遅れたり、移動制限からプログラム移植ができず、プロトタイプver.2の検証までは実施できなかった。 2)MG吻合における吻合枝の運動単位数の計測:令和二年度に、末梢神経損傷合併例でのMUNE新法を用いる運動単位数の計測は、被検筋の高度萎縮例や肘部で尺骨神経神経移行術例では、記録が困難な症例があることが明らかとなった。令和三年度は、MUNEではなく、通常の運動神経伝導検査で得られる複合筋活動電位(CMAP)を活用した吻合枝評価について、MG吻合7名、前骨間神経移行術9名で検討した。MUNE新法同様、CMAP波形をsubtraction解析により得られる吻合枝の振幅は、従来collision法より簡便に、同等の計測が可能であった。 3)成果の発信:令和三年度は、シンポジウムを含む国内学会など2件の発表、1編の邦文論文、1編の英文論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、MUNE新法に関する手法の確立、「MUNE新法市販プログラム」の開発を行い、プロトタイプver.2仕様まで完成した。またMG吻合の計測については、MUNE新法による吻合枝MUNEの計測の検証に加えて、新しい試みとして、MUNE新法の原理をCMAPに応用する吻合枝の検証を実施した。MUNE新法市販プログラム開発と吻合枝評価の新たな手法について、一定の成果を得たと評価する。 一方で、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、健常者を含む計測の症例数が十分に確保でないことから、当初と異なる形で研究を進めており、その進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
MUNE新法プログラムを用いて、神経吻合の臨床データの追加収集(特に臨床症状との関連)と、MG吻合の運動単位数の最適な計測方法と計測値を明らかにする。 1)新型コロナウイルス感染症の影響で、健常者計測が難しい状況が続いており、末梢神経損傷患者を中心に、計測データ数を増やす。 2)研究成果の学会発表や論文化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、昨年度に引き続き、①~③の不測の事態が生じた。①MG吻合に関する健常者計測が全く実施できず、末梢神経損傷患者の計測数も限られr、データ収集が十分にできなかった。② ①のため、成果発表が想定したペースで達成できなかった。③ 予定していた国内国際学会に不参加または現地参加できなかった。以上より、物品費・旅費・人件費・謝礼が当初予算を下回った。 (使用計画) 残りの計測および波形解析に必要な消耗品(電極、リード等)、研究協力者との会議に関連する旅費・会議費、学会発表に関する参加費・旅費、論文化経費(英文校正、投稿料)に使用する予定である。
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