研究課題/領域番号 |
18K17711
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
兼岡 麻子 東京大学, 医学部附属病院, 言語聴覚士 (40815106)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 食道癌 / 食道亜全摘術 / 誤嚥 / 咽頭残留 / 嚥下内視鏡検査 / 嚥下造影検査 |
研究実績の概要 |
胸部食道癌に対して食道亜全摘術を施行する患者をリクルートし、術前後の嚥下障害について臨床データを収集した。食道癌患者の術前後の嚥下内視鏡検査および嚥下造影検査の検査動画、ならびに対象者の医療関連データを電子カルテから抜粋し、研究対象者のデータベースを作成した。 このデータを用いて、食道癌術後患者の嚥下動態を定性的な評価法で解析し、術前後の嚥下動態の変化を示した。喉頭侵入および誤嚥の程度の指標には、The Penetration-Aspiration Scale (PAS)を用いた。その結果、術後患者の約7割に声帯運動障害を認め、また約4割に嚥下中の喉頭侵入および誤嚥を、また約6割に梨状窩残留を認めた。術後3か月では約9割の患者において嚥下障害が軽快していた。 さらに、術後嚥下障害患者における誤嚥軽減の手法として、①姿勢調整(頸部屈曲)、②水分へのとろみ付加の効果を検証した。その結果、通常頸位と頸部屈曲位でPASスコアに有意な差はなく、頸部屈曲位に誤嚥軽減の効果を認めなかった。一方、水分にとろみを付加すると、付加しない場合に比べてPASスコアは有意に低下し、水分のとろみ付けに誤嚥抑制効果があることが示唆された。これらの知見を、The Dysphagia Research Society Annual Meetingや日本摂食嚥下リハビリテーション学会等で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
嚥下造影検査の定性的な解析は概ね終了したが、定量的な解析(動作解析)は実施に時間がかかり、まだ行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集はすでに終了したため、今後はデータ解析(動作解析)に注力することができる状況となった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大により所属施設での作業が中断しているため、自宅でも解析が可能となるようなハードウエア環境を整える。
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