研究課題/領域番号 |
18K17712
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
武藤 ゆみ子 東京工業大学, 工学院, 研究員 (30614614)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / 福祉工学 / 加齢 |
研究実績の概要 |
近年の社会問題の1つとして、医学的に健康な高齢者の運動機能や認知機能の加齢による影響を要因とした、自動車などによる事故や転倒による寝たきり化などが挙げられるが、その予防策への支援は未だ十分とは言い難い。特に、健康高齢者が自分自身の身体や認知の変化には気づきにくいという問題がある。そこで本研究では、健康な高齢者の転倒や事故を未然に防ぐため、高齢者自身が自らの変化の気づきを促す支援を可能とするインタフェースの提案,及び,その健康増進のための改善技術の提案を目的とする。本年度は、研究代表者らが提案した、姿勢(脊柱の湾曲度合い)を簡易的に評価する手法を用いて、実際に健康高齢者を対象とした体力測定会で300人以上の高齢者を対象に姿勢計測を実施した。その結果、高齢者が自分自身で気づくことが困難であった、前かがみの猫背姿勢の補正や円背姿勢の早期発見として本手法が有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、提案手法の有効性検証を目的とし、システムを改良したうえで、300人以上の健康高齢者を対象に、体力測定会において姿勢計測を行い、体重・身長・腕力・脚力・骨密度などの計測結果とともに、姿勢計測の実施が実現した。その結果、簡易計測システムの有効性が示された。従って、予定されていた基礎的な実験は十分遂行できたと評価できる。さらに、予定されていた姿勢と年齢の関係性に加え、新たに、腕力・脚力・骨密度・身長・体重・年齢・性別などの結果を加え、姿勢評価のモデリングを実施している最中であるため、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、健康高齢者の身長・体重・年齢・性別・腕力・脚力・骨密度と姿勢の関連性を明らかにしたうえで、転倒リスクを予防するモデル構築を予定している。転倒には、高齢者の認知状態も関与することから、認知タスクに関連する指標も取り入れて、分析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は得られた結果に基づき新たに装置開発の予定を立てていたが、健康高齢者300人を対象とした実験を実施し際に、当初予定していた姿勢と年齢の計測データ以外の、高齢者の健康パラメータを複数取得することができた(身長・体重・骨密度・脚力・腕力など)。 従って、それらを含めてモデリングした結果に基づき、システムを改良する手順に急遽切り替えたため、次年度に改めて装置開発を行う手順とした。この方法により、さらに良い結果が得られるとともに、従来得られなかった姿勢や他の健康指標との関係性も明らかになることが期待される。
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