研究課題
昨年度に引き続き、高齢者を対象とした計測実験はすべて中止となった。そのため、新規データ計測は難しい状況ではあったが、本研究で取得してきたデータを分析し、本研究の目的に沿った装置開発、及びMR技術を活用した新たな健康維持システムの開発を実施した。具体的には、まず、従来は、Kinectを使用した姿勢計測システムを用いて姿勢評価を行ってきたが、新たにiphoneやipadなどのタブレット端末を用い、ディープラーニングのアルゴリズムを取り入れることにより、スマホアプリなどを用いて簡易的に姿勢評価を可能とするシステムに改良した。これにより、マーカーをつけずに、人の骨格から姿勢情報を計測し、姿勢推定データが取得可能となり、将来的に多様な応用が期待できるシステムと改善することができ、リハビリテーション以外にも教育現場における書字活動への応用などの基礎技術とすることができた。さらに、これまで蓄積された高齢者の年齢・性別・骨密度・身長・体重・体脂肪・左右腕力・左右脚力、転倒歴の有無を合わせて分析した結果から、「筋力・体重・姿勢」の観点に基づき高齢者の健康状態のグループ分けを行うことの有効性を示し、椅子から立ち上がる動作(筋力を使用した簡易動作)の際の姿勢計測を行い、ふらつき度合を調べることにより筋力状態の推定を試みた。これらの大規模データの分析成果に基づき、MR(複合現実)技術を用いて実環境にて、歩行時の人の姿勢や歩行状態をデジタル表示することにより、健康維持やリハビリーテンションのための基礎技術を構築した。
2: おおむね順調に進展している
昨年度は、感染症の流行により、本年度はすべての体力測定会が中止となり、データの取得ができない状況であり、研究の進捗状況はやや遅れていたと判断されたが、本年度については、引き続きデータが取得できない状況ではあったものの、これまで蓄積してきた大規模データの分析を様々な観点から行うことにより、新たな技術として、健康維持やリハビリーテンションのための基礎技術を構築することができたため、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
次年度は、本研究の最終年度として、これまで蓄積してきた大規模データの分析成果に基づき、健康維持やリハビリテーションのための新たな技術を提案する。複合現実技術(MR)を用いて、実環境にて、歩行時の人の姿勢や歩行状態をデジタル表示を行うシステムを構築し、有効性の検証実験を実施する。
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