研究課題/領域番号 |
18K17716
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
星野 藍子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10534406)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | うつ病 / 復職支援 / 休職 / 女性 / 男性 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、①企業のニーズ、②実際のリワークデイケアでの女性休職者のニーズ調査とその特徴の解明、介入における効果測定を進めている。 ①に関しては2019年度に収集した企業での1500名程度のストレスチェックのデータをもとに、男女の傾向の違いについて、解析を行い、論文を投稿した(現在査読中)。この結果では、従来から報告されている仕事の量や裁量権については、男女ともに同じ傾向であることにもかかわらず、男性では上司からの支援と身体的な労働負荷が特徴的なストレス因子であり、女性では仕事の適合性が特徴的な因子であるという差異がみられた。この結果に関しては現在、労働安全関係の雑誌に論文を投稿し、査読中である。またこのストレス要因と重症化については、因果関係に関して、横断的・縦断的な解析を現在行っており、企業での予防的観点からこの問題に対するニーズがどのようなものであるか調査を進めている。 また②については、引き続き、リワーク施設でのデータ収集を継続しており、研究開始から約100名程度のデータが収集されている。現在このデータについて、様々な評価項目から解析を進めている。その一つとして、復職支援で多く利用されている復職準備シートの結果と、利用開始時のインタビュー結果を利用して、利用開始時点での利用者の状態について、調査を進めている。男女での差、抑うつ程度での差があることが示唆され、ニーズが高く、効果的なプログラムの選定について検討している。この内容の一部については次年度の国際学会に投稿済みであり、現在査読を受けている最中である。 そのほか、カルテのデータを自然言語解析で検討したもの、目視での観察評価の結果について検討したものなどいくつかの視点で、男女差、抑うつ程度の差による検討を行っている。これらについては国内学会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究そのものは順調に進捗しているが、女性のプログラムの開発という点においては女性利用者の少なさから、予定していたようなデザインでの研究が実施できない状況にある。そのため、研究の枠組みを広げ、より詳細な評価を様々な観点から実施するとともに、通常のリワークデイケアの効果に関して男女差を検討する段階にある。最終年度にはそれらについて報告し、具体的プログラムの提案や一部効果の検証を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、二つの視点から研究を進めていく。 ①企業での女性のメンタルヘルス状況の調査、②実際の復職支援の現場での女性休職者に対するリワーク支援の効果と、新たな介入 ①についてはより広範な企業でのデータ収集をはじめ、②については継続したデータ収集と女性プログラムの試行的実施を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集を行っている施設の協力により、人件費の支出が抑えられたことが要因である。 次年度以降、迅速な結果の解析のため、補助スタッフを雇用していく予定である。 またCOVID-19による国際学会の中止なども、使用額に影響を及ぼしている。
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