研究実績の概要 |
敗血症患者においてもICU退室後の生活の質(QOL)に大きく影響を及ぼす精神機能障害へのフォローアップ介入について系統的レビューを実施した。その結果、重症成人患者に焦点を当てた13件の研究(n=3,366)と、重症成人患者の介護者に焦点を当てた4件の研究(n=538)を特定した。QOLについては重症成人患者のみで報告されており、ICU退室後のフォローアップにより標準化平均差 0.05 , 95%信頼区間[-0.08, 0.18]となった。また、重症成人患者のうつはリスク比 0.89, 95%信頼区間 [0.59, 1.34]、Post-traumatic stress disorder (PTSD)はリスク比 0.84, 95%信頼区間 [0.55, 1.30]となった。一方、ICU退室後のフォローアップにより、重症成人患者の介護者のうつはリスク比 1.58, 95%信頼区間[1.01,2.46]、PTSDはリスク比 1.36,95%信頼区間[0.91,2.03]となることを明らかにした。すべての有害事象に関して報告している研究は重症成人患者を対象としたもの1研究だけであり、各アウトカムのエビデンスの確実性はvery lowからlowであった。(Peer J, 2023 in press)。 本系統的レビューの結果を踏まえ、敗血症患者に対するリハビリテーションの安全性の検討および、敗血症患者へ実施されているリハビリテーションの内容を明らかにするために、敗血症患者の退院後のADLやQOLと関連する因子を検証するための研究の準備を行っている。COVID-19の影響により計画の大幅な修正が必要となり、実行可能な研究デザインへの変更を検討している。
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