研究課題
本研究では、脳卒中者の歩行時における脳と脊髄の同期的神経活動の異常に着目し、電流強度を律動的に変調することで、非侵襲的に頭蓋上から脳内の神経活動を修飾可能な経頭蓋交流電気刺激(tACS)を用いて、『脳と脊髄の同期的神経活動を修飾することで歩行機能回復の促進を目指す新しい歩行リハビリテーション手法』を提案し、tACSによる脳卒中者の歩行機能回復の促進に対する効果とその神経基盤を明らかにすることが目的である。本年度は患者を対象とした研究開始に向けて、計測環境の構築および予備実験の実施を行った。まず、脳と脊髄の同期的神経活動(コヒーレンス解析)の計測を可能とするための、トルク制御機器を作成し、脳波-筋電図計測を同期するシステムを構築した。このシステムを使って、対象者個々のコヒーレンス値を確定し、その値をtACSや末梢神経電気刺激、経頭蓋律動性直流電流刺激(otDCS)の刺激設定に応用し、脳波-筋コヒーレンスおよび筋間コヒーレンスに与える影響について健常者で検討している。これにより、患者への応用に向けて、適切な刺激パラメータ(時間、部位、強度など)を検討した。今年度の研究成果として、第48回日本臨床神経生理学会(東京)において個別化周波数を用いたtACSを用いた下肢運動学習の定着促進効果について発表し、最優秀演題賞を受賞した。また、国際学術雑誌7報(筆頭2報、共著5報)、著書2冊(分担執筆)での執筆、国際学会発表1件(共同)、国内学会発表7件(筆頭)を実施した。
3: やや遅れている
患者に対象とした研究実施にあたり、倫理申請手続きや研究実施体制の構築が遅れている。
早急に所属施設において、倫理申請手続きを進め、研究実施環境を整備することで、研究を推進していく予定である。
今年度は、患者を対象とした実験が行えておらず、謝金を使用しなかったため残額が生じた。次年度では、実験が開始されることで、謝金の支払いや研究成果発表に使用する予定である。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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