研究課題/領域番号 |
18K17723
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
山口 智史 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20594956)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経頭蓋電気刺激 / 経頭蓋交流電気刺激 / 末梢神経電気刺激 / 経頭蓋律動性直流電流刺激 / 脳波-筋電図コヒーレンス / 神経生理学 / 脳卒中 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脳卒中者の脳と脊髄の同期的神経活動の異常に着目し、この同期的神経活動の異常に対して、電流強度を律動的に変調することで、非侵襲的に頭蓋上から脳内の神経活動を修飾可能な経頭蓋交流電気刺激を用いたリハビリテーション手法を提案し、脳卒中者の歩行機能回復の促進に対する効果とその神経基盤を明らかにすることである。 今年度は、昨年度に構築した脳と脊髄の同期的神経活動(脳波-筋電図コヒーレンス解析)の計測システムを使って、対象者個々のコヒーレンスのピーク周波数を測定し、その値を経頭蓋交流電流刺激(tACS)、経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋律動性直流電流刺激(otDCS)、末梢神経電気刺激の刺激設定に応用し、脳波-筋コヒーレンスに与える影響について健常者で検討した。結果、10分間のotDCS前後において、脳と脊髄の同期的神経活動の有意な増強を認めた。一方で、tACSや経頭蓋直流電気刺激(tDCS)、末梢神経電気刺激の刺激前後では、有意な増強を認めなかった。 また、刺激周波数の設定に対象者個々のコヒーレンスのピーク周波数を使用することの有用性を検証するために、刺激周波数を20 Hzに固定したotDCS前後で同様の実験を行った。その結果、対象者個々のコヒーレンスのピーク周波数が20 Hzに近いほど、脳と脊髄の同期的神経活動の増強を認めた。 これらの結果から、脳と脊髄の同期的神経活動を変調するには、対象者個々のコヒーレンスのピーク周波数を使用したotDCSを用いることが有効である可能性を示し、患者への応用に向けて、適切な刺激方法とパラメータを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疾患例における研究実施が倫理申請を進めているが実施できていない。また現在、新型コロナウィルス感染拡大の影響で研究が実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られたデータについて、国際学術誌の執筆と投稿を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、患者を対象とした実験が行えておらず、謝金を使用しなかったため残額が生じた。次年度では、謝金の支払いや研究成果発表に使用する予定である。
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