• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

半側空間無視マウスモデルの確立と回復能の週齢差に着目した回復促進因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 18K17725
研究機関茨城県立医療大学

研究代表者

石井 大典  茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (30803291)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード半側空間無視 / 脳卒中 / リハビリテーション / モデル動物 / 脳梗塞 / 注意機能
研究実績の概要

半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect: USN)は,大脳半球の損傷により生じる高次脳機能障害の1つで,損傷した大脳半球とは反対側へ注意を向けることや反応することが障害される.USN患者では脳の損傷部位が様々であり,呈する症状も一定でないことからリハビリテーションの効果を検証するのが難しく,USNに対するエビデンスの高い訓練は少ない.また,高齢者ほど症状が残存しやすいことも知られている.そこで本研究は,条件の統制が可能な半側空間無視モデルマウスを作製し,年齢による回復能力の違いに着目して,回復促進に効果的な新規ターゲット分子を探索する.また,新規に発見されたターゲット分子の回復促進効果を検証し,リハビリテーションと薬物療法の併用という新たな治療戦略の提案を目的としている.
今年度はUSNの回復において重要な可塑的変化が生じる部位の同定を試みた.具体的にはMedial agranular cortex(AGm:昨年度確立したモデル),Posterior parietal cortex(PPC)を損傷したマウス(9週齢)は,損傷部位特異的な回復パターンを示した.さらに,組織学的および行動学的データより,損傷のサイズが大きいほど,症状の重症度は高く,損傷部位が前方に位置する場合は,回復が遅延することが示唆された.これらの結果は,吻側AGm損傷マウスは回復率が低く,半側空間無視の回復には吻側AGmでの神経可塑性が必要であることを示唆している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

脳梗塞の作製に用いるローズベンガルの投与量の検討が進まず,高齢マウスでのUSNモデルの作製に時間を要している.

今後の研究の推進方策

高齢マウスでのUSNモデルを確立する.またUSN症状の質を評価する.そのため,以下の実験を行う.
1.高齢マウスで安定的に脳梗塞を作製するために,ローズベンガルの投与量を決定する.
2.失行やその他の運動障害の有無を精査するために評価システムの構築と解析法を確立する.

次年度使用額が生じた理由

老齢マウスでの条件検討および新型コロナウイルス感染症に関わる諸対応に時間を要し,予定していた実験が実施できず,本年度の使用額が予算額を上回る結果となった.さらに,解析プログラムおよび実験機器の一部を自作することにより,システム構築に必要な物品費を抑えることがでた.き,次年度使用額が生じた.
次年度は,本年度実施できなかった実験の費用および動物実験に関する費用,論文発表費用,学会発表費用を計上した.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Ipsilesional spatial bias after a focal cerebral infarction in the medial agranular cortex: A mouse model of unilateral spatial neglect2021

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Ishii, Hironobu Osaki, Arito Yozu, Kiyoshige Ishibashi, Kenta Kawamura, Satoshi Yamamoto, Mariko Miyata, Yutaka Kohno
    • 雑誌名

      Behavioural Brain Research

      巻: 401 ページ: 113097

    • DOI

      10.1016/j.bbr.2020.113097

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi