研究課題
がん患者はその進行とともに異化の亢進などにより、さまざまな組織の障害が惹起され、化学療法などに対する治療忍容性やQOLを低下することが知られている。しかし、がんの心筋に対する直接的な影響に関する報告は少ない。本研究はマウス悪液質モデルを用い心筋に対する影響を検討した。マウス悪液質モデルは、生後5週齢雄性BALB/cマウスに同系の大腸癌細胞株CT26を腹腔内へ接種し作製した。群分けは腫瘍群、Control群とし各群3匹ずつ腫瘍の有無以外は全て同一条件下で飼育した。15日間の飼育後安楽殺を行い体重、心重量を測定した。また心筋の形態を観察し、免疫組織化学、Westren blottingにより酸化ストレス、オートファジー、ミトコンドリア関連タンパク質の発現を評価した。実験の結果安楽殺時の体重、心重量は腫瘍群で有意に低値を示した。また腫瘍群において酸化ストレスの蓄積、オートファジーの亢進、ミトコンドリア量の減少が確認された。組織学的検討では腫瘍群において心筋細胞の萎縮が観察され、左室内腔の相対的拡張が認められた。本研究により、がん悪液質は心筋において異化経路を亢進し、心機能を障害しうることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
がん性心筋萎縮の直接の原因としてミトコンドリア障害に伴う酸化ストレスが重要であることが認められた。
次年度は、ミトコンドリア障害の上流因子を明らかにし、治療介入の可能性を検討する。
残金は少額(4683円)であり問題ない。
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