【最終年度(今年度)の計画と成果】 新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により遅延していた一部解析と研究成果の公表および研究全体の取りまとめを行った。具体的には、近年、著しい発展を遂げている機械学習手法を活用し、回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者における自宅退院の予測精度をどこまで高めることができるかを検討した。その結果、XGBoostの活用により、性・年齢、麻痺側および入院時FIM得点のみの限られた情報から回復期リハビリテーション病棟脳卒中患者の自宅退院の可否を約90%の精度で予測できること、そして他のアルゴリズムよりも高い精度の予測モデルが作成できることが明らかとなった。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 本研究課題の目的は、脳卒中患者の日常生活活動自立度を効果的に向上させる機能回復練習を行うための、患者一人ひとりの介入すべき機能と目標値を導き出せる客観的指標を開発することであった。主な成果として、回復期リハビリテーション病棟の脳卒中患者の更衣、トイレ、歩行、入浴、セルフケア全体、上肢機能、転帰先と関連する心身機能とその水準(カットオフ値など)を明らかにした。また日常生活活動の自立の確率を大幅に高める心身機能の水準の組み合わせも発見することができた。これらの知見はリハビリテーションにおける予後予測と効果的な介入を行うための客観的指標となり、脳卒中患者のリハビリテーションの標準化を進めるための基礎資料になると考えられた。
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