研究課題
脳性麻痺児において、運動、日常生活動作および筋機能の発達を促すために必要な姿勢制御を明らかにすることは重要である。本研究では表面筋電図による時間的解析を脳性麻痺児に応用することで、座位での上肢リーチ動作中の頸部・体幹・股関節筋による姿勢制御(筋活動開始時間、方向特異性、リクルートメント順序、予測的姿勢制御)を詳細に評価する。また、筋機能を評価するために超音波画像診断装置を使用し、脳性麻痺児の体幹・股関節筋の筋量や筋内の結合組織、脂肪組織といった非収縮組織を個々の筋に分けて評価する。本研究の目的は、脳性麻痺児の運動、日常生活動作および筋機能の発達を促す頸部・体幹・股関節筋による姿勢制御を解明するために、姿勢制御と運動、日常生活動作および筋機能の変化との関連を縦断的に明らかにすることである。また、運動障害の重症度によって、このような姿勢制御の発達に違いがあるかについても、縦断および横断的に調査することで明らかにする。上述した目標を達成するために、平成30年度に肢体不自由児・重症心身障害児施設に所属の脳性麻痺児を対象として、運動障害の重症度、表面筋電図による座位でのリーチ動作中の姿勢制御、関節可動域、痙性、座位能力、粗大運動能力、日常生活動作、超音波画像診断装置による筋機能について測定した。超音波画像診断装置による測定では体幹の脊柱起立筋、腹直筋、股関節の大殿筋、大腿直筋における筋厚・筋輝度を測定した。筋厚は筋の量的状態(筋量)、筋輝度は筋の質的状態(筋内非収縮組織)を表す。
2: おおむね順調に進展している
平成30年度には肢体不自由児・重症心身障害児施設に所属の脳性麻痺児を対象として、15名の測定を実施することができたため
令和1年度(本年度)には肢体不自由児・重症心身障害児施設に所属の脳性麻痺児を対象として、運動障害の重症度、表面筋電図による座位でのリーチ動作中の姿勢制御、関節可動域、痙性、座位能力、粗大運動能力、日常生活動作、超音波画像診断装置による筋機能の測定を継続して実施する。また、平成30年度(昨年度)の測定結果をベースラインとして、運動、日常生活動作および筋機能の縦断的な変化と関連する要因を縦断的に明らかにする。本研究の今後の推進方策として、縦断研究として必要な対象者数が令和1年度(今年度)の測定で得られない場合、測定実施施設の追加を検討していく。
本研究は縦断および横断研究であり、対象者の2年目の測定における経費(物品費、旅費、人件費・謝金、その他)が必要であるため。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)
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