研究課題/領域番号 |
18K17739
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高松 泰行 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (40802096)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 静磁場刺激 / 神経活動 / モジュレーション / リハビリテーション / 脳血管疾患 |
研究実績の概要 |
新規非侵襲的脳刺激法として近年注目されている経頭蓋磁気刺激は小型磁石による静磁場刺激により、神経活動を抑制する作用を有する。脳血管疾患は、一側の脳損傷により、半球間の神経活動バランスが不均衡となり、機能障害に影響を及ぼすと考えられている。静磁場刺激はその不均衡を是正する新規のニューロモジュレーション手法として期待できる。本研究課題では、脳血管疾患への応用を目的とした臨床研究、静磁場刺激の作用メカニズム解明を目的とした医学的基礎研究の2点から研究を行っている。 健常人を対象とした実験では、静磁場刺激により同側運動野の興奮性は抑制され、対側運動野の興奮性は増大することが示された。さらに、刺激側から非刺激側への半球間抑制が抑制されることが示された。この成果は、国際誌に掲載された(2021.3)。脳卒中患者への臨床応用の基盤となる研究成果であると考えられる。 脳スライスを用いた基礎研究では、静磁場刺激による細胞膜の透過性亢進、神経細胞の発火閾値上昇、イオンチャネルの関与に関するデータが出そろい、論文作成に着手している。また、in vivoで静磁場刺激の効果を検証するための実験を立ち上げ、静磁場刺激により健常ラットの運動機能を抑制性に変化させることを明らかとし、国際誌に受理された(2021.3)。本研究では、静磁場刺激による行動学的変化は一時的であり、数日後には影響は認められなかった。ゆえに、遺伝子やタンパクレベルでの変化というようりは、ダイナミックな神経活動状態の変化がもたらされたと考えられる。今後、神経生理学手法を用いて静磁場刺激が神経活動に与える影響について検証するための予備実験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果が国際誌に掲載されており、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究を継続し、論文として成果発表を行う。現行の実験に加え、基礎研究では、in vivoでの静磁場刺激の効果検証、および脳卒中モデル動物に対する効果検証を進め、研究の発展につなげる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた実験計画に遅れが生じ、助成金を使用することができなかったため。 翌年度に繰り越し、予定していた計画用の財源として利用する。
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