研究課題/領域番号 |
18K17747
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
朝倉 智之 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (40641444)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | fluidity / 流動性 / sit-to-walk task / 姿勢制御 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究の進捗として、COVID-19の感染拡大への対策のため、研究対象となる協力病院入院での研究活動(対象者の募集及びデータ収集)が不可能であったため、予定の対象者数に達することが出来なかった。 既存のデータと基にして行える分析では、Sit-to-walk task(STW)におけるfluidityの計時的変化を分析し、有意な改善を認めた。またfluidityと他の歩行・バランス関連能力指標との比較を実施した。理学療法で一般的に用いられるバランスの評価尺度であるTimed Up and Go testや応用的な歩行能力を含めた評価尺度であるDynamic Gait Indexと一定の関連性があることを明らかにすることが出来た。一方で術側の膝関節周囲筋力や関節可動域との関連性は認めなかった。 今回の縦断的な調査においてはfluidityに対する介入は実施しなかったものの、改善が認められ、研究開始当初の仮説に合致した。この改善は機能障害の改善だけによるものではなく、経験を通しての自己の身体機能の評価に基づく代償的な動作、適応的な動作の可否が関係するものと考えた。本研究の対象である人工膝関節置換術後患者は姿勢制御に関わる中枢神経系の障害を有さないことから、積極的なSTWの練習を行わなくても、日常的に行われるSTWに関連する動作(立ち上がり動作、歩行動作)で学習した姿勢制御がfluidityを高めることに寄与したと考えた。 一方で、加速度波形からのfluidityの推測については十分な精度を示さず、先行研究とは異なる傾向がみられた。 今後はfluidityの改善に対し、運動学的観点からその姿勢制御をより詳細に分析し適応の過程を明らかにしていく。また加速度波形についてはTKA患者特有の現象の有無も含めて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で研究協力病院での十分な対象者数を確保できていない。また、同じ理由で研究開始当初に予定していた介護予防事業が開催されていないため、調査が不可能な状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
現状データを基に、fluidityの改善について運動学的観点からその姿勢制御をより詳細に分析し適応の過程を明らかにする。 研究協力者と連携し、COVID-19の感染拡大リスクが最小限になるようデータの収集が可能となるよう測定項目を限定する。またワクチンの接種状況などを鑑みてデータ収集を再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果の発表を予定した国際学会が延期されたため、支出が無かった。翌年度、当該学会が開催される予定のため持ち越しとした。 また翌年度は論文投稿を計画しているため、この費用を計上する。
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