研究課題
股関節が関節症変化をきたしていく際には、骨形態における変化が大きく分けて萎縮型、通常型、肥大型の3種類に分類される。骨形態と痛み、可動域といった臨床的な側面は検討されているものの、遺伝子やタンパクの発現を評価した報告はされていない。臨床的な関節症の特徴と基礎的な背景の相関関係を明らかにすることで、新しい側面から変形性股関節症にアプローチすることを本研究の目的とする。最終的なリハビリテーションを含めた保存治療への応用を目標とし、研究期間内で以下の4つの事項を検討する予定であった。(A)各股関節症の増殖能、分化能を明らかにする(B)各股関節症の遺伝子発現プロファイルを明らかにする(C)各股関節症の関節液に含まれるタンパクを明らかにする(D)上記のタンパク、遺伝子発現プロファイルと疼痛、運動機能との相関を明らかにする。(A)に関してはN数を増やし、細胞増殖能と分化能を認めることを確認した。しかし、予定していた増殖能分化能には明らかな有意差がみられなかった。このことは骨形態や関節症の程度に関わらず滑膜幹細胞が同等の増殖能、分化能を認めるという当初の予想とは違った結果であった。しかし、一見違うように見える各タイプであっても、バイオセラピーや理学療法に同様に反応する可能性がこの結果から予想された。今後は痛みや炎症に通じるサイトカインやタンパクに着目していくことも必要であると考えられる。その点において遺伝子発現プロファイルやELISAの検討を引き続き行う予定である。
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The Knee
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